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2016.06.20

フェイスブックとマイクロソフトがクラウドを「海に沈める」計画で提携

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フェイスブックとマイクロソフトの成長にとって、クラウドコンピューティングはきわめて重要だ。そこで両社は5月下旬、共同で大西洋を横断する全長4,100マイル(約6,600キロ)に及ぶ海底ケーブルを敷設すると発表した。

今の時代に、強力なデータセンター同士をつないでいるのが何マイルもの太いケーブルだなどとは考えたくないかもしれないが、これらのケーブルは不可欠だ。両社が敷設予定のケーブルは、バージニア州北部とスペインのビルバオの巨大データセンターを結び、ビルバオからアフリカ、中東とアジアにクモの巣状に広がっていく。

クラウドコンピューティングは、実はケーブル網やデータセンター、サービスプロバイダといった“地上の要素”に依存している。調査会社テレジオグラフィーの業界アナリスト、アラン・モールディンは、衛星は「高速でもなく性能も十分ではない」と指摘する。

それに対してケーブルは、ほぼ瞬間的な反応を提供し、より安定していてコストも安い。各ハイテク企業のサービスがますます国際的になるのに伴い、「クラウドは海の下に潜っている」と彼は言う。

フェイスブックは典型的なクラウドビジネスを展開している。同社のネットワークはデバイスを選ばず、安定していて高速だ。ムンバイでニュースフィードをチェックするのも、サンフランシスコでインスタグラムに写真を投稿するのも、待ち時間は同じくらい短い。

その秘密は“近さ”にある。データの移動距離が長くなるほど待ち時間も長くなるため、顧客の近くにデータセンターを置いているのだ。同社は今後、開発途上国への事業拡大を狙っており、そのためにはアフリカや中東、アジアのユーザーにより近い場所にデータセンターが必要だ。

マイクロソフトも、クラウドサービスのBingやXbox、Office、Azureで同様の事業拡大を狙っている。アメリカ・ヨーロッパ間のハブで超高速のデータ通信を確保すれば、法人顧客が海外でより魅力的なサービスを提供できるようになる。
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編集=森 美歩

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