今の時代に、強力なデータセンター同士をつないでいるのが何マイルもの太いケーブルだなどとは考えたくないかもしれないが、これらのケーブルは不可欠だ。両社が敷設予定のケーブルは、バージニア州北部とスペインのビルバオの巨大データセンターを結び、ビルバオからアフリカ、中東とアジアにクモの巣状に広がっていく。
クラウドコンピューティングは、実はケーブル網やデータセンター、サービスプロバイダといった“地上の要素”に依存している。調査会社テレジオグラフィーの業界アナリスト、アラン・モールディンは、衛星は「高速でもなく性能も十分ではない」と指摘する。
それに対してケーブルは、ほぼ瞬間的な反応を提供し、より安定していてコストも安い。各ハイテク企業のサービスがますます国際的になるのに伴い、「クラウドは海の下に潜っている」と彼は言う。
フェイスブックは典型的なクラウドビジネスを展開している。同社のネットワークはデバイスを選ばず、安定していて高速だ。ムンバイでニュースフィードをチェックするのも、サンフランシスコでインスタグラムに写真を投稿するのも、待ち時間は同じくらい短い。
その秘密は“近さ”にある。データの移動距離が長くなるほど待ち時間も長くなるため、顧客の近くにデータセンターを置いているのだ。同社は今後、開発途上国への事業拡大を狙っており、そのためにはアフリカや中東、アジアのユーザーにより近い場所にデータセンターが必要だ。
マイクロソフトも、クラウドサービスのBingやXbox、Office、Azureで同様の事業拡大を狙っている。アメリカ・ヨーロッパ間のハブで超高速のデータ通信を確保すれば、法人顧客が海外でより魅力的なサービスを提供できるようになる。