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2016.06.16

寄付型クラウドファンディングが過去最高額を調達 銃乱射事件の被害者を支援

銃乱射事件の犠牲者 photo by Drew Angerer / gettyimages

主に個人的なニーズへの支援の呼びかけを目的とする資金調達サイト、「ゴー・ファンド・ミ―(GoFundMe)」への寄付金額が、これまでにない勢いで急増している。募集開始からわずか2日間で、同社としては過去最多となる310万ドル(約3億2,900万円) を集めた。

その他のクラウドファンディングとは一線を画し、主に友人や家族などの個人的な資金集めを支援したいユーザーらが利用する同サイトは、6年前に運営を開始した。現在、大きな注目を集めているのは米フロリダ州オーランドのナイトクラブで6月12日に発生した銃乱射事件の直後、犠牲者とその家族を支援するために開始されたキャンペーンだ。

死者50人となる米国史上最悪の銃乱射事件を受け、追悼集会が世界各地で行われるなか、同サイトには14日の時点で、7万1,820人以上が寄付を行っている。ゴー・ファンド・ミ―の広報担当、ダン・ファイファーによれば、同社で行われたキャンペーンとしてはこの時点ですでに、過去最大の規模となった。

調達額には、同社が寄付した10万ドルが含まれる。寄付は通常、1件ごとに同社が徴収する取引手数料が差し引かれるが、その合計額を上回る金額が、サイト側から提供されたことになる。

このキャンペーンは事件発生の数時間後、性的少数者(LGBT)の権利擁護活動を行う同州最大の団体、イクオリティー・フロリダ(Equality Florida)が25万ドルの調達を目指して開始した。同団体の広報担当者であるマイケル・ファーマーはフォーブスの取材に対し、寄付金額は開始から10時間もしないうちに、100万ドルを超えたと明らかにした。

「最新の寄付金額を確認するたびに、10万ドル単位で数字が増えていった。信じられない気持ちだった」という。また、寄付をした人の中には、「これが手持ちの最後の2ドル」とのコメントを寄せた人もいた。

ファーマーは、「信じられないほど感動的なことだ。多くの人たちが、事件に巻き込まれた人たちのその後の生活を助けようと協力してくれている」「われわれは今後も、今回の事件の背景にある文化を変えるために活動を続けていく。そのことを忘れずにいてもらいたい」と話した。

今回の事件では、LGBTの人たちで混雑していたナイトクラブ「パルス」でオマル・マティーン容疑者が銃を乱射。店内で49人を殺害、53人を負傷させた。過激派組織「イスラム国」(IS)への忠誠を誓っていたとされるマティーン容疑者は、警察とのにらみ合いの末に射殺された。

編集 = 木内涼子

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