テクノロジー

2016.05.18 19:30

ウーバー代込みで住める賃貸アパート3千戸 サンフランシスコで開業

Mint / Getty Images

米国の家庭の90%は自家用車を所有しているが、ウーバーはそれを変えようとしている――。5月17日、ウーバーは地域の不動産業者とパートナーシップを結び、住民らにライドシェアや公共交通機関の利用を促進する取り組みを明らかにした。

その手始めとして発表されたのが、サンフランシスコで3000戸以上の賃貸アパートメントを擁する不動産デベロッパー、Parkmercedとの提携だ。

この提携によりParkmercedの新入居者は月に100ドルを補助金として受け取り、そのうち30ドルはウーバーで利用可能。残りはクリッパーカード(公共交通機関のICカード)にチャージしておける。また、住居から最寄りの鉄道駅やバス停までの移動には、ウーバーの乗り合いサービスUberPool を毎回5ドル以下で利用できるようになる。

「この提携はスマート・シティの実現に向けた大きな前進です」とウーバーのベイエリアを統括するウェイン・ティンはフォーブスの取材に述べた。「今回の提携を手始めに、より多くの不動産事業者との提携を進めていきます」

クルマを持たないライフスタイルを促進

1940年代に開発されたParkmercedはもともと、クルマを持つ家族のための住まいだった。しかし、若い世代のクルマ離れが進み、ウーバーやリフトなどのサービスも台頭するなかで今後も車を所有する人口は減少が予測されている。

ウーバーは不動産企業と提携し、価格を抑えたサービスを提供することで、ライドシェアが暮らしに溶け込んだライフスタイルを提供しようとしている。

「5年前にはウーバーなんて聞いたこともありませんでしたが、今や時代は彼らのものです」とParkmercedを運営する不動産企業、マキシム社のCEOのボブ・ロザニアは述べた。
「ウーバーとは長期的な視野でパートナーシップを結び、移動手段が多様化する中で、時代の最先端のライフスタイルを提案していきたいと思います」

今回の取り組みにより、賃貸アパートメントの若い入居者らが車の所有をやめ、これまで駐車スペースだった場所の有効利用につながることも期待できる。マキシム社は今後、大規模な再開発を計画中で、Parkmercedのアパートメント戸数を3倍に増やそうとしている。それと同時に、環境に配慮したサステナブルなコミュニティづくりを目指し、店舗やオフィススペースも設けるつもりだ。

ウーバーにとっては不動産業者や公共交通機関を巻き込んだ展開は、同社のイノベーションにおける新たなステップと言える。「月額100ドル」で始まった今回の取り組みは、人々のライフスタイルの変化を考える上でも、非常に大きなインパクトを持つことになるのかもしれない。

編集=上田裕資

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