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放送作家・脚本家、「くまモン」の生みの親。

ひとりで始めた「くまモン座」は、たくさんの人に愛されて、とうとう映画館になってしまう…未来もあるかも!? (illustration by Yusuke Saito)

放送作家・脚本家の小山薫堂が「有意義なお金の使い方」を妄想する連載第10回。筆者にとって故郷唯一の映画館を見守ることは、映画文化を守ること。資産家の皆さんもシアタールームをつくるなら、ミニシアターを買いましょう!

僕の故郷、熊本県天草市にたった1軒、「本渡(ほんど)第一映劇」という映画館がある。座席数116席の小さな映画館だが、支配人の柿久和範さんは「天草映画祭」や、千葉真一さんの映画のみを上映する「千葉祭」、撮影カメラマン木村大作さんを特集した「木村大作戦」などのユニークなイベントを考えて、その灯を絶やさぬように孤軍奮闘している。

その歴史を繙くと、オープンしたのは戦後間もない昭和20年代で、当時は3階席を有する熊本県でもトップクラスの大劇場だった。だが昭和46(1971)年の大改築で建物は半分に縮小、洋画専門館として再スタートを切るが、平成2(1990)年を最後に休館。その後、東京からUターン帰郷した柿久さんが3日間だけ映画館を借り切って、素人ながら「天草シネマパラダイス」を開催したのが平成3(1991)年のこと。7年後に正式に映画館を譲り受けたという。

第一映劇は僕が小学生のころに初めて映画を観た映画館でもある。そのとき何を観たかはちょっと覚えていないが、『ジョーズ』や『タワーリング・インフェルノ』を観たことははっきりと覚えている。

不思議なことだが、ミニシアターは大手シネコンと違って「この映画はここで観た」とセットで記憶をしていることが多い。その小さな空間に支配人の作品選びのセンスや、2時間の暗闇を観客ごと包む親密な空気というものがあって、隣に座った親しい人の息遣いや笑い声、泣いた横顔とともに記憶に強く残るからかもしれない。

そんなミニシアターが、全国各地で閉館を余儀なくされている。今年の1月には東京・渋谷のミニシアターの中核を担ってきたシネマライズも閉館してしまった。日本映画製作者連盟のデータによると、2015年の全国の映画館スクリーン数は3,437、うちシネコンは2,996、一般館は441。10年前の05年のスクリーン数は2,926、うちシネコンは1,954、一般館は972。一般館≒ミニシアターと考えれば、この10年で半数以上減ったことになる。

レンタルDVDやインターネット配信、地デジの普及に加え、スマホ1台あればいつでもどこでも自由に映画を観られる時代になった。映画館に足を運ぶ人が減少するのも致し方ないのかもしれない。でも、僕は、映画館の(特にミニシアターの)、誰かと一緒に感動を共有する、分かち合うというところに、けっこう大切なものがあるのではないかという気がするのだ。

イラストレーション=サイトウユウスケ

 

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