だがそれだけではない。20を超える国で行われた87の研究の分析によれば、取締役会に女性がいる(かつ、彼女たちの意見が真剣に受け止められている)企業では、その社会的成果や社会的責任(CSR)の向上も認められるという。女性管理職と企業の社会的成果になぜ、そのような関係があるのだろうか?
今回の報告書の著者である米ペンシルベニア州、リーハイ大学のコリーヌ・ポスト教授とジョージア州立大学のクリス・バイロン教授は、視点や教育、ことの進め方において女性と男性が異なるところにその答えがあることを突き止めた。
「男性と女性では価値観が異なる。女性は男性よりも物事を全体論かつより広い視点で捉え、環境や社会についての懸念により敏感であることが幅広い研究で示されている」とポスト。「そのため重役会議に女性がいると、議論が行われる際に、そうした視点―自分たちが働くコミュニティーや従業員に、その問題がどのような意味を持つのかという見方ーに基づく意見を出す可能性が高いのかもしれない」と言う。
なぜ女性の方が、特定の問題に理解を示す傾向があるかについては議論の余地があり、今回の報告書はこの問題をカバーしていない。だがポストは、その答えは、女性の方が“人との関係”に敏感な傾向があるからかもしれないと示唆する。
「女性は通常、自分のことを相手との関係の中で考える。一方で男性は、生まれながら、あるいは成長するにともなって、独立した考え方をするのというのが常で、他人と自分を切り離して考える」
またポストによれば、女性幹部がCSRによい効果をもたらす理由に、そのバックグラウンドがあるという。企業のトップにのぼりつめる女性は、より高いレベルの教育を受けている傾向にあり、社会的責任をより包括的な視点で見ることができるのだ。