テクノロジー

2016.03.04 10:31

日本人起業家が見たシリコンバレーのリアル


そんな優秀なエンジニアたちがひしめくシリコンバレーで勝ち残るのは簡単ではない。スタートアップの90%が5年後には存在していない、といわれるほど競争は厳しい。

ましてや、日本人にとっては言葉や文化的なハンディキャップもある。高橋自身、戦いが不利なのは理解している。

「やっぱり、アメリカで育っていなくて、中途半端な英語を話している日本人が、現地の市場に受け入れられて、かつ投資家に信頼してもらってお金を預けてもらうのは大変なこと。そこは、アメリカ人と日本人では雲泥の差がある。僕は今35歳だけど、35年分のハンディがあるようなものです」

だがそんなシリコンバレーでうまくやっていくのに、何も特別なスキルは必要ないとも考えている。

「シリコンバレーはすごく優秀な人たちがたくさん集まって、人間的に泥臭く仕事をしている場所。困っていたら助け合ったりするカルチャーが強くて、そういう人のつながりによって仕事の生産性やスピードが上がっている面が強い。だから、子供の頃にちゃんと『ありがとう』とか『ごめんなさい』を言えるように教わった人なら、アメリカでもやっていけると思うし、僕自身、手応えも感じています。そういう人間的なコミュニケーションを大切にする人たちが助け合いながら仕事をしている場所なんです」

増谷 康 = 文 マイケル・ショート = 写真

この記事は 「Forbes JAPAN No.20 2016年3月号(2016/01/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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