世界中でロイヤリティを獲得する
コストコは米国本拠の企業だが、海外市場でも勢いを増しており、特に日本、英国、スペインで好調である。各国の小売市場で激烈な競争にさらされても、コストコは本国で成功している事業モデルで結果をだしているのだ。
品ぞろえの良さ、商品の品質の高さ、業界トップクラスのカスタマーサービスが、世界中の買い物客に受けている。国によっては生鮮食料品にかなり高い基準が課せられている場合もあるが、コストコの商品へのこだわりと、各国市場の嗜好にあった品ぞろえが、成長のカギとなっている。
ロイヤリティとは信頼から生まれてくるものである。顧客は、コストコの品質、新鮮さ、品ぞろえ、そしてこうした商品を提供している企業を信愛している。このことが世界中で勝利の方程式になっているのである。
会員制の強みと、Amazonと逆行する在庫管理
アナリストや投資家も、コストコの会員継続更新率の高さと、全世界的な成功に着目しはじめており、いまや小売業界内で比較すべき競合企業はAmazonしかいないとまでいわれるようになってきている。
両社とも、ロイヤリティを原動力とした会員制小売業で卓越しているが、コストコには他の小売業者とは違って、Amazonに対する免疫になるような強みを持っている。コストコの店舗で買い物をするためには、年会費55ドル(2016年には値上げが予定されている)を支払う必要があるが、この年会費が同社の利益の75%を占めているのである。ここに、コストコがあれだけの低価格を提供できる理由がある。
さらに、Amazonがあらゆる商品のワンストップ・ショッピングとしてブランディングをしているのに対し、コストコでは意図的に品ぞろえを抑えている。ある分析によれば、コストコはほとんどの同業他社と比べても少ないSKU(最小在庫単位)しか抱えていないが、そのことが有利に働いているのだ。それは、サプライチェーンが簡略化され、在庫管理をやりやすくなること、そして小売業者側の購買力を強めることに貢献している。
こうしたことすべてが、オンラインでの存在感がほとんど皆無の、真のブリック・アンド・モルタル小売業者であるコストコが、このオムニチャンネル・リテイルの時代に、Amazonに肩を並べる売上を上げている理由なのだ。