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SEASTOCK / Shutterstock

11月3日、アマゾンが新しい実店舗「アマゾンブックス」をオープンした。これまで多くの書店を廃業に追い込んできたオンライン小売大手の試みとしては皮肉なものだが、興味深い新たな時代の幕開けである。アマゾンブックスのバイスプレジデント、ジェニファー・キャストによれば、この店舗はアマゾンのウェブサイトの延長線上なのだという。そして最大のポイントは、顧客が実際に読書端末KindleやFireタブレット等のデバイスを手に取って試すことができることだとしている。

International Data Corporationのレポートによると、Kindleの出荷は昨年のクリスマス商戦において前年比を70%も割り込んだという。タブレットベンダー大手5社の中でアマゾンの落ち込みが最も大きく、タブレット市場でのマーケットシェアもたった2.3%にまで下がってしまった。トップシェアの28.1%を誇るアップルとは対照的に、アマゾンのKindleの苦戦が浮き彫りになる。アマゾン自体は読書端末の売上を公表していないが、2012年に落ち込んだ売上が2013にも浮上することはなかったとされている。

Kindle苦戦の一端は、ミレニアル世代が読書の手段として読書端末をあまり好まないため、という見方もある。Publishing Technology社が実施した調査によると、米国のミレニアル世代の79%が過去一年に紙の本を読んだと回答しており、これは電子書籍を利用した人のほぼ倍であったという。同社は米英でそれぞれ1,000人のミレニアル世代を対象に調査を行っており、アメリカのミレニアル世代では電子書籍を読んだ人の36%がタブレットではなく、電話端末を利用していたことがわかった。イギリスのミレニアル世代について見てみると、28%が電子書籍を読んだ経験があり、そのうち19%が電話端末を使用していた。また、ワシントンポスト紙の記事によれば、2014年秋の新学期に読書端末を使って教科書を購入した大学生は全体の9%とどまったという。ミレニアル世代は、電子書籍を拒否して、非デジタルな方法で読書することを選択しているのだ。

Publishing Technologyのレポートでは、ミレニアル世代は、アマゾンのようなオンラインサイトよりも実店舗で本を購入することを好むとする結果も出ている。調査対象となった米国ミレニアル世代の52%が、本は大手チェーン店で「普通に購入する」と回答したというのだ。また、同調査によるとミレニアル世代の28%が本屋の実店舗に並ぶ本を見て購入する本を決定しているとしており、この28%の若者たちもアマゾンブックスの顧客となるだろう。更に、ミレニアル世代の45%が口コミによる推薦で新しい本と出会っており、同調査ではこうして本と出会うミレニアル世代が最も多いとしている。

ウェブ上のコミュニティもミレニアル世代が口コミの推薦で本と出会う場所の一つではある。しかし、アマゾンブックスがあれば、アマゾンも他の書店をまねて、顧客が交流しやすい雰囲気を作り出し、商品について会話を生み出すことができるようになる。特に若者に人気が出るような雰囲気づくりをすることもできる。調査レポートでは、ブルックリンにあるGreenlight Bookstoreのオーナーであるジェシカ・ストックトン・バグヌーロさんの話を取り上げている。ジェシカさんは、本屋の店舗内で顧客間の対話が生まれるような交流イベントを開催していて、参加者のほとんどはミレニアル世代だという。ジェシカさんはイベントを通して気付いたことについてレポートでこう語っていた。「お客様は、昔からの著名な作家の作品を読むことよりも、議論することを好みます。イベントへは特定の本や作家に関する大人数での会話を求めて参加しているようです。本を読む人たちは書き手が経験してきたことの裏話や、本のオリジン・ストーリーに興味があるのです」

少々皮肉なことに、アマゾンブックスという実店舗はミレニアル世代の読者をつかまえるための戦略的な一歩なのだ。電子メディアを好んで消費するとされるミレニアル世代を、である。アマゾンブックスの登場により、Kindleを買うべきか迷っている人たちが端末を実際手に取ってみることができるようになるのと同時に、紙の本が欲しい人は同じ実店舗内で本を購入することも可能になる。それだけでなく、アマゾンは実店舗を持つことで、商品に興味を持った顧客に関心をより深めてもらうイベントを開催することも可能になったのだ。

編集 = Forbes JAPAN 編集部

 

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