米ITOnlineのデータによると、現時点で既にアメリカ人の3分の2が、医療機関を受診するより、スマートフォン等のデジタル端末による健康管理を支持している。また、プライスウォーターハウス(PWC)の調査でも、成人が少なくとも一つの健康、フィットネス関連アプリをダウンロードしており、その数が過去2年間の数字を16パーセント上回った。
「健康関連のアプリに対する信頼性が高まり、運動、生理、体重、食習慣の管理といった要素を融合させるサービスも登場し、利用者の健康が大きく改善されることが期待される。医者の側も、こういったアプリが提供するシステムにアクセスしなければ、時代の流れから取り残されることになる」とPWCは述べている。
基礎体温を記録し排卵日を管理するアプリを提供する米Kindaraは、最近の調査で出産を控えた女性の多くが、かつてない程モバイルアプリを利用していると報告した。「現在、妊娠出産関連の様々なアプリが既に利用されており、基礎体温と排卵日をグラフで示すもの、子どもの名前を提案するもの、出産前の妊婦の健康管理をサポートし、胎児の成長をモニターできるものなどがある」としている。
Kindaraは、女性たちが主治医の言うことを聴く前に、モバイルアプリのデータやオンラインコミュニティーでやり取りされる情報を信頼するようになると予測し、2016年には、女性たちの足がクリニックから遠のき、さらにスマホに頼るようになるとしている。
Kindaraの共同創設者、ウィル・サックスCEO は、2016 年は女性の健康維持に関連したサービスを提供する企業が爆発的に増える年になると言う。「女性の健康関連の製品に対する要求は高まる一方で、サービスを提供する側でも更なるイノベーションが必要です。それが出来なければただ取り残されるだけです」
PWCは調査報告の中で、大手製薬会社が、薬品の使用について利用者に理解を深めてもらうために何百というモバイルアプリを立ち上げる一方、企業各社は従業員の健康保険のコストを削減するため、モバイル環境を利用し始めたとし、現状を次のように指摘している。
「雇用主は、社員がオンラインでアクセスできるウェルネスプログラムや、持病(慢性疾患)を管理できるシステムを導入し始め、健康保険制度の側ではそれが医療費の削減につながっている。製薬会社は顧客に直接サービスを提供するため独自のアプリを立ち上げており、その数は現在700件以上に上る」
グローバルヘルスコンサルタントのケリー・バーンズ氏はMobileStrategies360.comで次の様に述べた。「消費者がモバイル端末を通して健康管理の主導権を握るようになれば、市場に爆発的な力を与えるだろう。この分野でモバイル端末の利用が進めば、小売業、金融サービス、ホスピタリティー関連事業者といった今まで健康関連事業とはほとんど連携をとることのなかった業界も、新たな形で結びつき、市場に参入することになるだろう」