タイ最大の財閥のチャロン・ポカパン(CP)グループの食品部門チャロン・ポカパン・フーズ(CPF)は4月21日、日本の総合商社である伊藤忠商事が保有するCPポカパン(CPP)の株式の23.8%を11億ドル(約1560億円)で取得すると発表した。
CPFは、この取引を通じてCPポカパンの株式を100%保有することになり、これにより同社の純利益が増加し、自己資本利益率(ROE)の改善を発表した。CPポカパンは、中国およびベトナムで畜産業や加工食品の販売などのアグリフード事業を展開する企業で、CPFは同社を完全子会社化することにより、経営の柔軟性を高め、より効果的な戦略が可能になると述べている。
伊藤忠は2014年に約870億円を投じて、CPポカパンの株式25%を取得していたが、2026年3月期中にそのすべてを売却するとしている。CPグループも伊藤忠の株式を取得し、両社は食料から金融まで幅広い提携効果を狙っていたが、その相互出資の解消を決定した。
伊藤忠は、CPポカパンの株式の売却で得た1250億円を2026年3月期の連結決算に計上するとしている。
CPポカパンとCPFの親会社であるCPグループは、世界最大級の飼料および畜産物の生産企業として知られている。タイで最も裕福な人物の一人であるタニン・チャラワノン(86)が率いる同社のルーツは、1921年にタニンの父チャ・エック・チョルと叔父チョンチャロン・チャラワノンが開いた、中国から輸入した種子をタイの農家に販売する店だったとされている。
フォーブスは、タニンの保有資産を146億ドル(約2兆700億円)と推定している。