今から約2年前、世界で最も名高いベンチャーキャピタル(VC)の一社のセコイア・キャピタルは、米国の本部から中国部門(セコイア・チャイナ)とインド・東南アジア部門(セコイア・インド)を分社化した。
そして今、「Peak XV」として再ブランド化されたセコイア・インドが、シリコンバレーに戻ってきた。90億ドル(約1兆2800億円)規模のこのベンチャーファンドは、サンフランシスコを拠点とする新チームの一員としてアルナヴ・サフを採用した。
Peak XVのマネージング・パートナーであるシャイレンドラ・シンは、「グローバルにスケールする最高の創業者たちと仕事をするためには、米国の拠点が必要になった」と語った。同社は、以前からグローバルに投資してきたが、ベイエリアで事業を立ち上げる海外の創業者が増加したことを受けて、この決断に至ったという。「米国外で創業したが、ターゲット市場は米国という企業がますます増えている」とシンはフォーブスに語った。
シードステージおよびグロースステージのディールに焦点を当てるPeak XVの米国進出は、セコイアから分離した時点で既に予定されていたものの、人工知能(AI)関連の投資が爆発的に拡大していることから、「そのスケジュールを前倒しした」とシンは述べている。「独立した瞬間から、セコイアの他の幹部には、米国チームの立ち上げが極めて重要になると伝えていた」と彼はフォーブスに語った。
Peak XVが米国で最初に採用するパートナーのサフは、ネットワーク大手のシスコを経て、スパークキャピタルで投資家としてのキャリアを始動した後に、今年初めにYコンビネータからPeak XVに移籍した。
Yコンビネータで彼は、AI関連のScaleAI(スケールAI)やセキュリティ関連のVanta(バンタ)、人事(HR)ソフトのRippling(リップリング)などへの投資に注力していた。「アルナヴはまさに我々が求めていた人物で、Yコンビネータではシード段階、YC Continuityではグロース段階の両方を経験した」とシンは説明した。
Peak XVは、サンドヒルロードに本拠を置く親会社との分離以降に、米国で着実にチーム構築を進めてきた。2023年には元セコイアのタレントパートナーのジェイミー・ボットを採用し、その後の1年間で、オペレーティング・パートナーのクリス・メリットとディニ・メータもチームに加わった。
セコイア・キャピタルとセコイア・インドは2023年6月に分離した。この決断は、ファンドの管理方針の違いや、それぞれの投資対象のスタートアップ同士の競争をどう扱うかという問題が主な理由だった。また、米中間の緊張の高まりも一因となった。
セコイアは、中国のハイテク企業を支援していたことで、バイデン政権の注意を引いたベンチャーファンドの1つだった。他にもDCMベンチャーズやマトリックス・パートナーズ、GGVキャピタルなどが、過去2年間で中国への投資に特化したチームをスピンアウトさせている。