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2025.04.22 10:30

第2次トランプ政権の影響で「気候テック」スタートアップに吹く逆風と追い風

Shutterstock.com

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トランプ大統領の第2期がスタートし、予想されていたとおり迅速に多くの変革が実施されている。移民政策の見直し、DEI施策の撤廃、連邦政府の縮小、環境保護規制の緩和、相互関税の開始、さらには国内エネルギー生産の促進などが行われている。

前政権下では、米国は気候テック分野において世界的なリーダーとなり、世界中から数十億ドル規模の投資と数多くのスタートアップが集まっていた。たとえば、2022年に成立した3690億ドル(約51兆9000億円)規模のインフレ削減法(IRA)や、2021年に成立した1兆2000億ドル(約169兆円)規模の超党派インフラ法(BIL)といった政策は、気候テック(クライメートテック)への投資を大いに後押しした。しかし、バイデン前大統領の気候重視の姿勢とは対照的に、トランプ政権は気候問題への対応を後回しにし、エネルギー安全保障を優先する方針を掲げている。つまり、化石燃料生産の拡大に重点を置く一方で、EVや再エネ関連施策を後退させる方向へ舵を切っているのだ。

特に注目すべき気候関連の大統領令は、以下のものだ。

・インフレ削減法(IRA)および超党派インフラ法(BIL)に基づく連邦支出の一時凍結と、両法の見直し命令
・EV普及を促進する各種規則および税額控除の見直し・改訂の命令
・化石燃料、水力発電、バイオ燃料、原子力、重要鉱物などに関する過度な規制の見直しと、許認可手続きの迅速化命令
・洋上風力発電プロジェクト向けに連邦所有水域のリース撤回
・米パリ協定再離脱

連邦支出を凍結した大統領令は、多くの受給者が資金にアクセスできなくなる影響をおよぼした後、迅速に裁判で争われ、連邦裁判官によって差し止められた。多額の資金が凍結状態にある一方で、現在は電動スクールバス、省エネ型建物のアップグレード、低所得者向け太陽光発電プロジェクトなど、一部の取り組みはIRA関連の資金を受けているようだ。

同様に、トランプ政権の米エネルギー省(DOE)は2月11日、Montana Renewables社が再生可能燃料(SAF)施設拡張プロジェクトに対して、融資保証の実行を承認した。今回の16億7000万ドル(約2350億円)の融資案件は、前政権下のエネルギー省が2025年1月に発表したことから、注目を集めている。

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文=マイケル松村 編集=安井克至

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