PowerHubはオイルフリーで、従来の配電機器に比べ小型で軽量だ。従来のAC-AC配電用変圧器、電圧調整器、キャパシタバンクの機能を1台に統合し、電圧調整、電力フロー管理、力率補正さらには直流の入出力の統合といったさまざまな機能を実現する。これにより、火災リスクの低減、グリッド効率の最大10%向上、再生可能エネルギーの統合度を20%アップ、さらにリアルタイムでの配電線モニタリングと制御が可能となる。
同社は2023年に、EPRIおよび北米の7つの電力事業者との実地試験でプロトタイプの有効性を実証し、現在は商用版の開発を進めている。
3. 微生物から効率的なバイオ触媒を開発するHydGene
HydGene Renewables(HydGene)は、マッコーリー大学のディープテック系スピンアウト企業で、生物物理学、バイオ化学、合成生物学の専門家によって設立された。同社は、合成生物学を活用して微生物から効率的なバイオ触媒を開発している。このバイオ触媒は、耐久性のある触媒材料に組み込まれ、小型フローレアクターとして機能するモジュール型カートリッジユニットにパッケージ化される。これらのカートリッジはスタックに組み立てられ、製造、輸送、展開を効率化するためにさらにコンテナ化されている。同社のバイオ触媒プラットフォームは糖エキスを原料として再生可能なグリーン水素を生産する。
下水汚泥や醸造廃棄物など、100種類以上の原料を使った大規模なテストにより、同社のプラットフォームが可溶性糖のみならず、リグノセルロース系バイオマスも活用できることを実証した。これにより、セルロースやヘミセルロースといった消化されにくい糖類を分解し、田畑で焼却され二酸化炭素を放出してしまう作物残渣などの廃棄バイオマスの利用も可能となる。
HydGeneのソリューションは、メタノールなどの化学品製造の脱化石化、バイオガス生産の補完、また農業現場において、廃棄バイオマスを水素に変換し、現場で肥料用アンモニアの生成に活用するといった用途に特に適している。同社は英国のパートナーと協力し、分散型・統合型の「バイオマス→水素→アンモニア」変換パイロットプラントの開発に向け、オーストラリア政府から110万豪ドル(約9930万円)の助成金を獲得した。


