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2025.04.22 10:30

第2次トランプ政権の影響で「気候テック」スタートアップに吹く逆風と追い風

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トランプ政権下でも投資家の関心が高い気候テックのスタートアップ

また、IRAにともなうクリーンエネルギー投資案件数の6割、投資額の8割が共和党が強い州に集まっている理由から、今後IRAがどのように改定されるのか、依然として見通しが立ちにくい状況だ。2024年8月には18人の共和党議員が、IRAの税額控除の維持を求める書簡を提出するなど、党内でもIRAの存続を求める声もある。

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トランプ政権の発表にもとづき、化石燃料、地熱、バイオ、原子力、水力そして重要鉱物といった分野のスタートアップは恩恵を受ける可能性が高そうだ。例えば、SMR(小型モジュール原子炉)の開発企業X-Energy、地熱エネルギー開発企業Fervo、重要鉱物発見プラットフォームEarth AIの資金調達状況から、これらの分野に対する投資家の関心は依然として高いことが伺える。

また、かつては超党派で支持された水素も、今後はグリーン水素から、トランプ大統領が掲げる国内石油・ガス生産拡大および原子力支援に沿い、ブルー水素(石炭や天然ガスなどの化石燃料を分解して得られた水素)やピンク水素(原子力発電の電力で水を電気分解して製造される水素)へのシフトが予想される。炭素回収技術に関しても、Exxonといった石油・ガス企業や超党派の支持を受けていたものの、Project 2025では米国のCCUS(炭素回収・利用・貯蔵)に対するインセンティブの撤廃が示唆されており、不透明な状況が続いている。

さらに、AIやデータセンターの急増を背景に、米国の電力需要はこれまでにない速さで成長すると予測され、今後数年間で約年率3%の需要増加が見込まれている。新たに迅速な稼働が期待できる発電源としては再生可能エネルギーだけが該当し、ガスや原子力などは、開発に長い期間(ガス火力発電所に不可欠なガスタービンも新規購入は最短で2030年頃である)が必要とされている。もし需要に供給が追いつかなくなると、気候テックに関連する税制やその他の政策にも変化が生じる可能性がある。結果、スタートアップや投資家にとって、今後も予測困難な状況が続きそうだ。

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このような状況下、米国内のエネルギー・燃料生産およびレジリエンスの強化に主眼を置く、以下の気候テックスタートアップは、比較的これらの変化による影響を受けにくいと考えられる。

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文=マイケル松村 編集=安井克至

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