eスポーツの世界における賞金は、長い間賛否両論のトピックだった。『Dota 2』の世界選手権であるThe Internationalで用意される数百万ドルの賞金は毎度話題となったが、賞金プールの大部分を手にするトップチーム以外の多くのチームにとって、この賞金プールの高さこそが同ゲームの大会シーンの持続可能性を低めてしまったことはほぼ間違いない。しかし、その一方で、世界最大級のゲームに参加するプレイヤーがわずか数千ドルの賞金で競い合うようになると、トップに到達するまでの長年の努力が尊重されていないように感じられることもある。
多くのeスポーツトーナメントのオーガナイザーにとって、常に正しい判断をすることは難しい。2カ月の間に20以上の異なるトーナメントと、それらすべてを包括するチャンピオンシップが開催されるような状況では、それはなおさらだ。そこで登場するのが、今年開催2年目を迎えるEsports World Cup(EWC)だ。彼らは、eスポーツのエコシステムを持続的に成長させながら、トップチームがトーナメントへの出場権を獲得するために全力を尽くすだけの報酬を提供することを使命としている。
「昨年は6000万ドル(約85億9100万円)という前代未聞の大金を投じましたが、同時に成長する余地も残しておきたかったのです」とEsports World Cup FoundationのCEOであるラルフ・ライヒェルトは語る。「そのため、今年は(賞金プール)を6000万ドルから7000万ドル(約100億2300万円)へと引き上げました」
「というのも、エコシステムをお金で溢れさせないようにしながらも、付加価値を与え、成長と将来を見据えた明確なストーリーを生み出すことができると感じているからです。私たちはDotaで、個別のゲームの賞金プールがとてつもなく高額になるとエコシステムが崩壊してしまうことを目の当たりにしました」