EAのeスポーツ担当シニア・ディレクターのモニカ・ディンズモアによると、人気の高い欧州サッカーリーグのチケットは入手が困難で高価なため、多くのファンがゲームを通じてリーグに初めて触れているという。
「当社の『FC Pro』や『EA SPORTS FC』などのゲームは、欧州のリーグと密接に結びついており、若いファンが初めてサッカーに触れるための素晴らしい機会となっている」と、ディンズモアは述べている。
「例えば、イングランドのチェルシーFCの試合チケットは、入手が困難でストリーミングも有料のため、若いファンは見るのが難しい。しかし、ゲームであれば好きな選手や好きなチームを応援できるし、世界最高クラスの選手のプレイを見ることができる」と彼女は指摘した。
これまでは、子どもがサッカーなどのスポーツに触れるきっかけは、親に連れて行ってもらった試合であることが多かった。しかし、ディンズモアは近い将来、子どもが親をゲームに誘うようになるかもしれないと述べている。
「今の子どもたちは、ゲームをプレイしてデジタル空間の中で交流している。EAは、スポーツタイトルを通じて、彼らに最初のタッチポイントを提供している。これからは子どもたちが父親を誘って、ゲーム内でチームを応援するようになるかもしれない」とディンズモアは語る。
しかし、若いスポーツファンがライブイベントと完全に無縁になる訳ではない。ディンズモアは、サッカーの欧州チャンピオンズリーグと「eChampions League(eチャンピオンズリーグ)」とのクロスオーバーイベントを例に挙げる。このイベントでは、チャンピオンズリーグ決勝の前日にeスポーツの決勝大会を開催し、優勝者を表彰した。
「eチャンピオンズリーグの優勝チームには、実際のピッチ上でトロフィーを贈呈した。このイベントは、それぞれの世代が好きな形でコンテンツを消費し、つながりを感じられるものだった」と彼女は言う。
ゲームの中で試合を観戦
ディンズモアはまた、ビデオゲームとライブスポーツの境界がさらに曖昧になると予想する。例えば、昨年12月には、NFLのヒューストン・テキサンズとカンザスシティ・チーフスの試合がEAのゲーム『マッデンNFL』内でストリーミング配信された。このイベントは、ネットフリックスのドキュメンタリー作品『Formula 1:栄光のグランプリ』が、何百万人もの若いファンをF1に引き込んだのと同じように、若年層のファンをサッカーに引き込むために考案されたものだ。
「これは、EAにしかできない非常に興味深いクロスオーバーイベントだった。今後、現実世界とデジタルのクロスオーバーはますます増えるだろう」とディンズモアは語った。
(forbes.com 原文)