サイエンス

2025.04.11 15:15

エジプトで発見「黄金の失われた都市」。3000年を経たヒエログリフや青銅貨幣も

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長年にわたる慎重な発掘の末、エジプトの考古学者らはエジプト南部のナイル川東岸にある都市、ルクソールに位置する王家の谷で、砂の下に隠されていた3000年前の鉱山集落、「黄金の失われた都市」の発見に成功した。

「ツタンカーメン王の墓に次ぐ大発見」の声も

正式名称「アテン」と呼ばれるこの都市は、かつて金の採掘で栄えた場所であり、ツタンカーメン王の墓の発見以来、最も重要な考古学的発見の一つとされている。

この遺跡はエジプト紅海県のマルサ・アラム南西に位置するジャバル・スカリにあり、紀元前1391〜53年にエジプトを統治したアメンホテプ3世の統治下で築かれたとされる。この発見により、古代エジプトの金採掘技術や、当時繁栄した時代の産業について新たな知見が得られることとなった。

都市の建築物等は非常に良好な状態で保存されており、住居や寺院、行政施設、作業場、さらには浴場まで確認されている。

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その中でもひときわ注目すべきは設備完備の金の採掘施設だ。ここには粉砕・研磨ステーション、ろ過用の水槽、沈殿池、そして金を精製するための溶鉱炉などが備えられており、石英の鉱脈から金を取り出し精製する工程が明らかになった。エジプト観光・考古省によると、このプロジェクトでは単なる発掘や記録のみならず、建築物の修復も慎重に行われた。また、現代の採掘作業による破壊を防ぐため、重要な遺構の一部は元の場所から3キロ北へ移設された。

アテンは主にアメンホテプ3世の時代で金鉱山都市として機能していたが、ローマ期やイスラム期の遺物も発見されており、長い歴史を持つ多文化都市だったことがわかっている。

発掘されたものの中には、ヒエログリフ、デモティック(民衆文字)、ギリシャ語が記されたオストラコン(陶片)628点や、プトレマイオス朝時代の青銅貨幣が含まれていた。また、ギリシャ・ローマ時代の人間・動物のテラコッタ像、バステト神やハルポクラテス神の小さな石像、プトレマイオス朝の供物台なども見つかっている。

さらに、日常生活で使われていた陶器や香水、薬、香の器、貝殻を使った装飾品や宝石のビーズも出土した。これらの発見から、アテンは何世紀にもわたって多文化・多言語の都市として機能し、エジプトの王族が宮殿や墓、神殿を装飾するための金を供給する重要な役割を果たしていたことがわかる。

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