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2025.04.15 13:30

眠れる観光資源は「人」がつくる 高尾が「食」で盛り上がるワケ

八王子市高尾町の駅付近には、地域外から人を呼ぶ人気の飲食店が増えているという。町の新たな魅力はどう生まれるのか。マクアケ創業者による好評連載第51回。


都圏在住の人にとって、最も身近な山といえば高尾山だろう。その人気ぶりはよく知られているが、外国人観光客からも注目されており、登山者は国内外合わせて年間約300万人。その数はなんと世界一だそうだ。一方で、高尾山口駅の隣にある高尾駅付近で楽しく過ごしたことがある人は、どれくらいいるだろうか。ある日、高尾在住の友人から「高尾駅周辺が食で盛り上がっているから、一度来てほしい」と誘われ、飲食店巡りをすることになった。私自身、高尾山は何度も訪れたことがあるが、高尾駅はただ通り過ぎるだけの場所で、降りたことは一度もなかった。 

駅を出てから最初に連れていってもらったのは、よくある郊外の住宅街のローカルな一角にある焼き鳥店だった。そこはもともと地元で50年愛されていた「味はる」という飲食店だったのだが、後継者がいなかったために、私の友人たちがそれを引き継いだのだという。店舗や内装はリノベーションしてきれいになってはいるものの、「味はる」という店名はそのままに、新たに地元で愛される店になっていた。同エリアには彼らがもともと経営していた焼き肉店もあるのだが、どちらも満席で、地元の人だけでなく少し離れた地域からわざわざ訪れる客も多いという。店にはファミリーや若者が集まる活気あるコミュニティのような空間が生まれていた。

次に向かったのは、高尾駅から徒歩数分の場所にある八王子ラーメンの屋台「しゅんやっちゃん」だ。店に近づくと目に飛び込んできたのは、驚くほど長い行列だった。その日は特別寒く、夜も遅い時間だったのだが、屋台を目当てに数十メートルもお客さんが並んでいた。地元住民だけでなく、電車や車で遠方から訪れる人も多いらしい。しかも、この行列はほぼ毎日のようにできているというから驚きだ。

実際にラーメンをいただいてみると、そのおいしさに納得。さらに、屋台ならではの雰囲気も相まって、楽しい体験になった。興味深いのは、この「しゅんやっちゃん」の人気が影響してか、周辺に新しい屋台がいくつか新たにできているということだ。

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文=中山亮太郎 イラストレーション=岡村亮太

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