2024.11.16 15:00

飛鳥クルーズ、その船旅の魅力|篠田哲郎×小山薫堂スペシャル対談(前編)

放送作家・脚本家の小山薫堂が経営する会員制ビストロ「blank」に、アンカー・シップ・パートナーズの代表取締役社長、篠田哲郎さんが訪れました。スペシャル対談第15回(前編)。


篠田哲郎(以下、篠田僕、『Forbes JAPAN』を創刊直後からずっと定期購読していて、欠かさず読んでいたのが小山薫堂さんの連載「妄想浪費」だったんです。

小山薫堂(以下、小山恐縮です。あれは資産家の皆さんにどう上手な浪費をさせるか、その妄想を綴っただけなんですけど。

篠田:僕ももともとお金について、稼ぐ時期も大事だけど、使いながら世界を広げていくというのが重要だと思っていて。薫堂さんが「お金を生き金にするのも、死に金にするのも、要は使い方次第なのだ」と書かれているのに心を揺さぶられました。それで2021年、飛鳥クルーズ就航30周年の節目の年に、飛鳥クルーズ初のアンバサダーに就任してほしいとお願いしました。

小山:本当に光栄です。

篠田:ゼロから立ち上げて30年かけて培ったものには確かな勝ちパターンがある。30年ぶりの新造船「飛鳥III」ができるチャンスも得て、さらなる飛躍のためには、強烈なアイコンによる斬新な企画が必要だと思ったんです。

小山:タイミングも良かった。僕のクルーズ初体験は2010年で、こんなに日本に合った観光手段はほかにないんじゃないかと感じていたところだったんですよ。

篠田:理由は何ですか?

小山:それまでクルーズって「ご高齢の皆さんの団体旅行」とか「船に乗っている間だけ楽しい」というイメージだったんです。でも、そのクルーズはローマを出てバルセロナに向かう1週間のクルーズで、毎朝8時前後に寄港地に入港する。そこで6時に起き、デッキでジョギングをしていると、前方の眠っている街が少しずつ起き始めて......。風を浴びながらそんな街にどんどんと近づいていくのが、すごくワクワクしたんです。

寄港地では観光してもいいし、船の中で過ごしてもいい。選択肢はその日の気分で決められる。しかもスーツケースは広げっぱなしでいいし、食事代も移動代も込みだし、高級ホテルのスイートルームよりは安い。こんなラグジュアリーな旅はほかにはないなと。かつ、日本は島国ですから、その周辺をぐるりと回るだけでも相当楽しい旅になると確信しました。

篠田:例えば「飛鳥II」」には30年前から阿波おどりのクルーズがあり、船で練習し、お揃いの法被を着て、現地で踊れる「飛鳥連」というのがあるんです。迫力満点の観覧席を用意するのみならず、そうやって主体的に地域と関わっていく企画をこれから一緒に生んでいけたら嬉しいですね。

旅先の縁が、自分の未来に影響する

小山:JR九州のクルーズトレイン「ななつ星in九州」がいいのは、現地のレストランとコラボレーションしますよね。選ばれたレストランは「ミシュランの星以上に喜んでくれる」と聞いたことがあるのですが、実際に店のシェフが喜ぶだけでなく、そこに野菜を納めている農家さんも誇りに思う。つまり、ななつ星は九州の隅々まで希望を与える存在になっているんです。

篠田:飛鳥クルーズでもぜひ実現したい。各寄港地のA店、B店、C店のテーブル数席を予約しておいて、乗船したお客様が選べるというのは、店もお客様も双方にハッピーなことかと。
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写真=金 洋秀

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