地域を魅力的にする町のチャレンジャー
最後に訪れたのは、少し離れた川沿いにある、何十年も続く居酒屋だった。そこで提供されたのは、なんと今朝取れたという鹿肉だった。夜更けに山と川に囲まれた立地というシチュエーションもあいまって、特別なおいしさだった。
今回食巡りをした高尾駅周辺では、こうした新たなチャレンジャーたちのエネルギーが膨らみ始めている。高尾山という世界的な観光スポットの力を取り込みながら、新しいかたちの町づくりが進んでいく可能性があると感じた。昔からの名物や観光資源だけに頼るのではなく、今を生きる人々のエネルギーによって新たな町の魅力が生まれていくのだろう。ほかにない個性をもつ話題の町というのは、このようにつくられていくのかもしれない。
日本には、潜在的な観光資源を十分に生かしきれていない地域がたくさんあるのだろう。オーバーツーリズムが問題になっているが、高尾のように、観光スポットの周辺地域にはまだ訪問者を受け入れるキャパシティが眠っているのかもしれない。ほとんどの地域には新たな一歩を踏み出すチャレンジャーがいるものだ。そして、そういった「出る杭」の存在こそが、その地に縁もゆかりもない人を呼び込む台風の目になり、地元の魅力を広げてくれると考える。時代は「出る杭は打たれる」のではなく「伸ばされる」方向へと変わりつつある。こういったチャレンジャーをいかに後押しできるかで、その地域の10年後が大きく変わってくるだろう。若者の地方移住が進む昨今、そんな地域が増えることを望んでいる。
なかやま・りょうたろう◎マクアケ代表取締役社長。サイバーエージェントを経て2013年にマクアケを創業し、アタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake」をリリース。19年12月東証マザーズに上場した。


