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万博で注目の「リユース建築」 2つのパビリオンに見る永山祐子の挑戦

建築家・永山祐子氏が手がけた「Women’s Pavilion in collaboration with Cartier」

建築家・永山祐子氏が手がけた「Women’s Pavilion in collaboration with Cartier」

いよいよ開幕する2025大阪・関西万博では、「未来社会の実験場」というテーマのもと、持続可能な建築が次々と生まれている。なかでも注目されるのが、建築家・永山祐子氏が手がけた「Women’s Pavilion in collaboration with Cartier(以下、ウーマンズ パビリオン)」とパナソニックグループのパビリオン「ノモの国」だ。

ウーマンズパビリオンは、ドバイ万博2020(コロナ禍により2021年に開催)の日本館で使用された建築資材をリユース。ノモの国でもリユースを想定しながら革新的な建築手法を採用した。共通するのは、未来の建築のあり方を問う社会的メッセージの発信だ。

万博パビリオンの多くはこれまで会期終了後に解体、廃棄されてきた。しかし、今回は環境負荷を低減しながらも未来に向けた新たな表現を生み出す試みが行われている。循環型建築の可能性に挑戦する永山氏に話を聞いた。

リユース建築が生み出す新たな空間価値

「Women’s Pavilion in collaboration with Cartier」
「Women’s Pavilion in collaboration with Cartier」

2020年のドバイ万博日本館で使用されたファサード資材をリユースし、新たな空間価値を生み出したのが、ウーマンズパビリオンだ。カルティエ、日本国際博覧会協会、内閣府、経済産業省が共同で出展。女性の社会進出やジェンダー平等をテーマに、女性のエンパワメントを象徴する建物として設計され、持続可能な建築の新たなモデルとして注目されている。

「万博が開催されるたびに新しい建物が壊されることに疑問があった。リユース建築は単なる資材の再利用ではなく、解体後の活用まで設計に組み込むことで持続可能な建築の在り方を示していきたい」と、永山氏は強調する。


ドバイ万博では二等辺三角形平面の建築を設計。今回は日本の京町家のような細長い敷地に合わせてまったく異なる空間に変換させた。前庭と2階の中庭、脇には通り庭を設け、雌松をはじめとする、大阪近郊の木々が植えられている。建築と樹木の融合も同パビリオンの特徴の一つで、会期後は元の山林に戻す予定だ。

「Women’s Pavilion in collaboration with Cartier」
「Women’s Pavilion in collaboration with Cartier」

手がけたのは、日本の原風景の再現をコンセプトに活動する造園家の荻野寿也氏。森の大木が小さな木々を守るように、リユースした組子パネルのファサードが、庭園の木々を暑い日差しや豪雨から守っている。建築における光の可能性を追求する永山氏は、ここでも光の表現を重視。ファサードが全体を包み込むことで、光と影のバッファゾーンを作り出した。

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文・写真=橋長初代

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