ウーマンズパビリオンとノモの国。この2つのパビリオンは、いずれも小さなセルの積み上げで構造体全体を構成するという独特の建築手法を採用している。これにより、建材の運搬性とリユース性が高まり、構造的にも力が分散されて見た目が軽やかな印象に。どちらのパビリオンもすでに万博終了後の移設先がほぼ決まっているという。
大きく異なるのは、アプローチの仕方だ。ウーマンズパビリオンではリユース建材を新しい形に組み替えることで新たな価値を作り出した。一方「ノモの国」では、永山氏がこれまで取り組んだことのないまったく新しい表現方法と建築技術に挑戦した。
「ウーマンズパビリオンで採用しているボールジョイントシステムは古くからある確立された技術。その技術を使ってまったく違った見え方にチャレンジした。ノモの国では、いままでなかった構造形式を探しながら作ったので技術的な難易度が高く、完成したときの喜びは大きかった」
リユース建築に取り組むことで、単なる社会的意義を超え、自身のクリエイティビティが刺激されるという面白さにも気づいた。リユースをきっかけに新たな協力者との出会いや仲間の広がりも実感しているという。
永山氏は「今後もリユース建築の可能性を追求し、発展させていきたい」と熱く語る。万博経験を通して得た自信と知識、そして肝心なところで踏ん張れる精神力で道を切り拓いてきた永山氏の取り組みにこれからも注目したい。


