2025.04.13 15:15

美食はますます富裕層の旅の目的に バンコクで「土地の味」に出会う

30を超えるホテルブランドをもつ世界最大のホテルグループ、マリオット・インターナショナル。全世界に9000超のホテルを抱える同グループは、2024年から、ザ・リッツ・カールトン、セントレジス、JWマリオットなどの7ブランドを“ラグジュアリーグループ”と定め、連携してブランディングを行なっている。それでも73カ国に529ホテル・リゾートという大規模なものだ。

また昨年秋には、歩みを進める上での基盤となるアジア・太平洋地域の富裕層を対象としたリサーチ「食の未来2025」を実施。それによると、アジア太平洋地域はグルメ観光の中心地であり、2023年には世界市場の37.8%というシェアを占め、2033年までに6.2兆米ドルの成長が予測されるデスティネーションであるという。

アンケートに回答した富裕層旅行客の9割近くが「レストランを予約してから航空券を購入する」といい、食が旅のモチベーションの大きな部分を占め、その土地らしさを表現した食が求められているという。

ザ・リッツ・カールトン・バンコクの場合

発表から間もない昨年12月末、タイ・バンコクの中心部、ルンピニ公園の緑を望む立地にニューオープンを果たした「ザ・リッツ・カールトン・バンコク」は調査結果を反映した好例だろう。

リッツ・カールトンといえば、重厚でクラシックなインテリアが特徴だったが、こちらは中間色のグラデーションが映える軽やかなスタイルで、現代的にアップデートされている。西洋化を進めたタイの君主、ラーマ5世にインスピレーションを受け、当時流行していたアールデコをモダンに解釈したインテリア、そこに幸運を運ぶとされている7種類の花をあしらうことで、タイらしい意匠を自然な形で表現している。

肝である食について、オールデイダイニングの「リリーズ」では、伝統的なストリートフードをラグジュアリーにアレンジした朝食を楽しむことができる。

例えば、モダンタイ料理で定番の「リバープラウン」と呼ばれるロブスターのようなエビをサイドに添え、伝統的な手法でネット状にした卵焼きをのせた「リバープラウン・パッタイ」や、ソフトシェルクラブのフリッターを乗せたカレー味の麺「カオソイ・クラブカレー」、タイミルクティー味のワッフルなど。

「リバープラウン・パッタイ」
「リバープラウン・パッタイ」

さらに、洋風朝食の定番のエッグベネディクトは、オランデーズソースに南タイ風のカレーのアクセントを加えた「エッグス・サイアム」なども選ぶことができる。

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文・写真=仲山今日子

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