ランチやディナーのデザートは、ペストリーシェフのシルヴァン・コンスタンスさんによるタイ産のカカオを使ったチョコレートに、唐辛子とパイナップルを合わせ花を模ったデザート、地元の小規模生産者のチーズを使ったチーズケーキなど、地元食材を取り入れたものが並ぶ。
メインダイニング「デュエット」は、パリの二つ星レストラン「デビッド・トゥッタン」のデビッド・トゥッタンシェフが監修。面白いのは、メニューにおいて「パナン(南タイのカレー) フォアグラ パッションフルーツ」のように、食材よりも主な調味料が最初に紹介されていることだ。
シェフのヴァレンティン・ファルシュ氏は「創作の際に、タイの伝統的な味やフランス料理のハーブにスポットライトを当て、「味」をいかに表現していくかの過程で、フォアグラなどの食材を決めていく」のだと語る。前出のパナンの他にも、タマリンドなど、アジアの味も多く取り入れられ「この土地らしさ」が感じられる仕立てになっている。
セントレジスバンコクの場合
同じバンコク中心部エリアで昨年ブランド創設120周年を迎えたセントレジスバンコクも、ローカル食材の取り入れを積極的に行っているホテルの一つだ。開業は2011年で、2020年にはスイスの三つ星で、ファーム・トゥー・テーブルスタイルで知られる「シュロス・シャウエンスタイン」のアンドレア・カミナーダシェフの監修のレストラン「IGNIV(イグニヴ)バンコク」をオープンした。
「シュロス・シャウエンスタイン」の敷地内にベジタリアンレストランも手がけるカミナーダ氏のスタイルを踏襲し、現場を任されたアーネ・リエンシェフは、タイの季節の食材から発想した料理を提供。タイ産の野菜をコースの中心に据えている。


