1952年にさかのぼるライトトラック。それよりは多少新しい、オープントップのオフロード車(色はターコイズブルー)。爆発させてほしいと言わんばかりに、後部に対戦車地雷を積んだコンパクトカー。3年以上におよぶウクライナに対する全面戦争で、補充可能な数をはるかに上回る1万2000両以上の装甲戦闘車両を失ってきたロシア軍は、地雷や大砲、ドローン(無人機)による攻撃に非常に弱い、民生用や軍民両用の車両で戦闘に臨むことがますます増えている。
こうした異様な状況では、ロシア軍のあるドローン部隊が使っているピンクのオートバイは、哀れなことに、とくに目を引くものでもない。
「われわれの軍馬をお見せいたしましょう」。エストニアのアナリスト、WarTranslatedが英語字幕を付けて紹介している動画のなかで、ロシア兵は自分たちのピンクのオートバイと、その粗末な手作りのサイドカーを披露している。「こいつに乗って任務に赴いております」
"We have nothing left to ride." - on such "warhorses," according to Putin, the Russian army plans to "finish off" the AFU. pic.twitter.com/4oSoZNXAZM
— WarTranslated (@wartranslated) April 1, 2025
ロシア兵によれば、「戦利品」のこのバイクはドローン操縦士が偵察任務に使用しているという。ドローンが飛べる距離はたいして長くないので、これに乗って最前線近くの陣地まで出ていって、そこからドローンを飛ばしているのだろう。
「この乗り物はビースト(獣)です」とロシア兵は話している。サイドカーには予備のガソリンを入れたタンクが置かれ、取り付けられた箱の中には、ウクライナ軍のドローンの目からバイクとライダーをくらませるための発煙手榴弾などが入っている。「いざという時のために」と兵士は不吉にも言い添えている。
ロシア兵はこのオートバイが急場しのぎのものであることも認めている。「われわれにはほかに乗るものがないのです」
装甲バイク
ロシア軍が昨年、近代的な戦闘バイクを初めて大規模に配備したとき、一部の部隊は装甲を追加することを試した。しかし、およそ100年にわたる装甲オートバイの歴史において各国の軍隊が繰り返し学んできたように、こうしたバイクは「相当重いため操縦が難しく、路外の機動性も非常に低い」(1930年代にデンマーク軍が試験した装甲オートバイについてのTank Encyclopediaの解説)