親自身が「食べない」ことを選択
保護者自身の食事を制限し、子どもに優先的に食事を与えるケースも目立つ。「自分の食事の量や回数を減らす」と回答した保護者は多数に上り、「ほとんど毎日」「週に2~3日程度」と食事を十分に取れていない人も少なくない。



問題なのは、その結果だ。親が栄養不足に陥ることで、体調不良を招いている現状も明らかになった。
「自分が食べる量を減らしているので、貧血が悪化した」
「栄養が不足した結果、感染症にかかりこじらせ医療費が高くなり身も蓋もなかった」
「自分が食べずに子どもに食べさせているので、体重がどんどん減り、生理も来なくなって数年になる」
「おなかにたまるものや炭水化物や加工品が多くなり、変な太り方をしてしまったり体調不良などがあるので健康面でも不安がある」
「自分の食事を抜いているので、病気がちにもなり元気に働けない」
「自己責任」と放置していいのか
子どもを守るために自身を犠牲にする親の姿が見えてきたが、これは短期的な問題だけにとどまらない。親自身の健康を損うことで、結果的に家族全体の生活・将来に大きな負の影響を及ぼす可能性が高いからだ。
この調査では、子どもたちの基本的な生活が危機にさらされているという現実が明らかになった。親が自分の食事を削ってでも子どもに食べさせようとする姿勢は胸を打つかもしれないが、それが常態化していることは決して見過ごせない。
物価高騰や収入減少といった状況は、「自己責任」として家庭だけで解決できるものではないと思っている。地域社会や企業、行政が連携し、困窮家庭を包括的に支える体制を整える必要がある。また、必要な支援をためらわず受けられる社会的風土の形成も不可欠である。子どもたちが空腹や栄養不足に苦しむことなく、成長していける未来を目指し、私たち一人ひとりが今できることに目を向けていきたい。