【重要なお知らせ:当社を装った偽サイトにご注意ください】

健康

2025.03.25 15:15

米国だけで経済効果22億ドルの「マインドフルネス」に意外な副作用の可能性

recep-bg/GettyImages

recep-bg/GettyImages

近年話題にあがるマインドフルネス。お金をかけずに自宅ででも実践可能だし、ストレスや精神衛生上の問題への処方箋として静かに長く人気を博してきた。

マインドフルネスとは、仏教に基づく瞑想の一種で、今この瞬間に自分が何を感じ、何を考え、何を感じているかを意識することに集中するものだ。

最初の記録は1500年以上前のもので、インドで発見された。 実は、初期仏教の瞑想法を解説した経典『Dharmatrāta Meditation Scripture(達摩多羅禅経)』には、さまざまな修行法が記されているだけではなく、瞑想後に起こりうる鬱や不安な心理状態などの症状についての記載もあり、瞑想による解離、脱人格化(この世界が「現実ではない」と感じること)などの、認知プロセスにおける正常からの逸脱についても触れられている。

そしてここ8年、このような瞑想やマインドフルネスに関する分野における科学的側面からの研究が急増してきた。 そしてその研究の過程で、上記に列挙した副作用がけっして稀なケースではないことが明らかになってきたのである。

参加者の10%以上が日常生活に大きな悪影響

瞑想を日常的に行っているアメリカ人953人をサンプルとした2022年の研究がある。その研究によれば、参加者の10%以上が日常生活に何らかの大きな悪影響を感じており、その状態は少なくとも一カ月続いたという。

2020年に発表された、40年にわたって行われた研究のまとめを参照すれば、一番報告の多かった副作用は不安とうつ病であった。 次いで、精神病や妄想症状、そして統合失調症または燃え尽き症候群、または得体のしれない恐怖を感じたという報告も増えている。

それらは実は、もともと精神が強くない人や、瞑想を日課とする人に限ったことではない。精神衛生上の問題に悩んだ経験のない人や、瞑想をさほど頻繁に行わない人にも同様の症状が起きる可能性がある、という研究結果が得られたのである。そしてその症状が一時的なものではなく、長期的な症状につながる可能性があるということも、研究によって判明している。

また、インドだけではなく西洋世界でも、長い間、同様の悪影響についての研究が行われてきた。

すでに1976年に、認知行動科学運動の中心人物であるアーノルド・ラザルスは、瞑想を盲目的に行っていると「鬱、錯乱や原因のわからない焦燥感、統合失調症や脱力感」といった深刻な精神症状を引き起こす可能性があると主張した。

もちろん、マインドフルネスが人々の幸福に役立つのは間違いないし、その根拠もある。 しかし、マインドフルネスのコーチや関連するビデオ、アプリ、書籍が、マインドフルネスや瞑想についての潜在的な副作用について警告していないことは、ある意味問題である可能性もある。

Jacob Wackerhausen/GettyImages
Jacob Wackerhausen/GettyImages
次ページ > マインドフルネスは「資本主義的スピリチュアリティ」?

文=ミゲル・ファリアス博士(コベントリー大学実験心理学准教授) 翻訳=大石月子 編集=石井節子

ForbesBrandVoice

人気記事