北米

2025.04.03 10:00

トランプ再選で金融業界が夢見た「M&Aブーム」はなぜ来なかったのか

ドナルド・トランプ米大統領(Win McNamee/Getty Images)

混迷続く日鉄のUSスチール買収

日本製鉄によるUSスチールの140億ドル(約2兆1000億円)規模での買収提案も、国家安全保障上の理由からバイデン前政権が阻止していたが、依然として先が見えない状況が続いている。トランプも2月に記者団に対し、「USスチールが外国企業に所有されるのは望ましくない」と述べ、バイデンと同様の見解を示していた。ただし、彼は少数株主としての出資には前向きな姿勢を示している。

しかし、国家の安全保障の問題や独禁法が理由で頓挫したM&Aはごく一部に限られており、年内に金利が下がれば、再びディールは活発化するはずだ。マッキンゼーによれば、PEファンドの多くは、過去20年の平均を上回る資金を内部で留保しており、出口戦略に遅れが生じている。さらに、米国では200万人を超える団塊世代の中小企業のオーナーたちが、引退を視野に入れて自社の売却を検討しているとされる。

「多くの中小企業オーナーが、そろそろエグジットを求める年齢に差し掛かっているが、現在のような状況下では、買い手は決断を下しにくい」と、M&A弁護士のジェイソン・ジャイルズは指摘した。

「みんなが最初のバカにはなりたくないと考えている」と、デアンジェロと共にフーリハン・ローキーのグローバル部門を率いるジェイ・ノバックも指摘した。「業績が冴えない会社を割高で買った最初の人間になりたい人はいない」と彼は続けた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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