解決策のカギは業界団体にあり
ここまで述べてきた通り、せっかく法改正して健全なCBD市場が形成されようという時にもかかわらず、結果的には不透明な状況に陥っている最大の要因の一つは、業界全体としての統一的な対応の欠如にあるように思います。いわゆる自浄作用のなさです。
法改正によって形式的な合法性が与えられたにもかかわらず、運用面では企業ごと、製品ごとに対応がバラバラであることが、不安定な市場環境を生み出しています。
今まず何より必要なのはCBDに特化した権威ある業界団体が、自主規制ルールを明確に策定することです。
これは単に「ルールを作る」ことにとどまらず、原料の選定から製造、検査、流通、販売に至るまでの一連のプロセスに対して、具体的かつ実効性のある指針を示すという意味を持ちます。
その上で、こうした基準やガイドラインをもとに、業界団体が大手メーカーや小売企業に対して説明責任を果たしていくことが重要です。
彼らと直接やりとりをするのではなく、彼らが所属する各種の業界団体や協会と連携しながら、CBD製品の安全性と市場の信頼性を丁寧に説明していくことが求められます。
たとえば、全国チェーンドラッグストア協会のような小売業界団体に対しては、どのようなCBD製品が適正で、安全な取扱いとはどうあるべきかを、事例を交えて共有していくべきでしょう。
同様に、アマゾンや楽天などのプラットフォーマーに対しても、CBD製品の実情や法的整合性について情報提供を行うことで、それぞれの独自基準が過剰に厳しくなったり、逆に無責任になったりすることを防ぐことができます。
また、小売やECにとどまらず、フォワーダー(貨物輸送業者)や通関業者、金融機関の業界団体、さらには製品流通を扱う業種との間にも、CBDに対する理解とルールのすり合わせが必要です。
このように、関係各所と一つひとつ丁寧に連携をとることで、業界全体での共通理解と共通対応が形作られていくはずです。