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ライフスタイル

2025.04.03 15:15

CBDは合法になったのに、なぜ広がらない? “透明な壁”の正体とは

Irina Gutyryak / Shutterstock.com

THCが万が一検出された際の対応とリスク

CBD市場の拡大を阻むもう一つの大きな壁が、「THCが検出された場合の行政的・社会的対応が依然として不明確である」という点です。

メーカーが意図せずTHCの基準値を超えてしまった場合、製品回収・行政指導・刑事処罰といったリスクが発生する可能性があります。

たとえ出荷前に適切な検査を実施し、製品の安全性を確認したとしても、流通や保管中の環境変化(紫外線・高温など)によってCBDが変性し、THCが生成される可能性があると指摘されています。

つまり、「出荷時にはTHC非検出(検出限界未満)」であった製品」でも、後日別の検査機関でTHCが検出されるリスクは否定できません。

しかし、そのようなケースにおける法的・行政的対応のガイドラインは、明確な基準や救済手続きが整備されているとは言えないのが現状です。

厚労省としては、薬物事犯について「故意性・認識可能性の有無」を重視する姿勢を示しており、事前に合理的な検査・保管・期限設定等の対策を講じていた場合には、刑事責任を問わない可能性があるとされています。

改正法前は製品内にTHCが検出された場合、厚労省HP内で「大麻成分THCを含有する製品について」という形で発表がされていました。このような行政対応に関しても、「公表は慎重に判断する」とされており、必ずしも即座に企業名が公開されるとは限りません。

しかしながら、その段階に至る前の「調査中」の段階で、マスコミやSNS、Youtuberなどによる報道・拡散が発生すれば、企業側の意図や過失の有無にかかわらず、レピュテーションリスク(風評被害)が先行するリスクは避けられません。

日本では「大麻」に対する社会的なアレルギーが依然として根強く、仮に厚労省が「本件は違法性なし」と判断した場合であっても、一度失われた信用を回復するのは容易ではありません。

このように、企業には「絶対的なTHC非検出の保証」が実質的に求められる一方で、THCは微量成分かつ検査精度・環境要因に依存するため、100%の保証は困難という矛盾が存在しています。

結果として、制度上はCBD製品が一定条件下で合法とされたにもかかわらず、企業は“事後的なTHC検出リスク”への対応不安から新規参入を控える状況となっており、これが現在の市場停滞の大きな要因のひとつと考えられます。

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