一般社団法人日本野球機構(以下、NPB)は2月1日施行開始とし、プロ野球の試合中動画の撮影・配信などに制限を設けると発表した。
簡単にまとめると、撮影そのものについては許容するものの、プレー中の選手の動画配信は一切認めないという骨子だ。スポーツ観戦における動画撮影がこれほどまでに一般化した現在、「いまさら」感は否めないように思われるが、自動公衆送信権を再定義する上でも着目しておく必要があるだろう(発表はこちら)。
東京五輪開催が予定されていた2020年は「5G元年」とも呼ばれ、日本でもNTTドコモをはじめとする通信各社が5Gサービスを導入。大容量低遅延の通信サービスが全国に広がった。これで危惧されたのがスポーツ放映権の「ダム崩壊」というシナリオ。2020年にこちらにも寄稿した。
携帯電話で手軽に動画撮影が可能になり久しいが、通信環境の進化により、ハイスペックの動画をストレスなく配信可能になる時代の到来を予見。テレビ局ではなくとも、一般観客による試合映像配信が可能になり、多額の権利料を支払う放映権が危険にさらされるというシナリオだ。
携帯電話が存在しない時代、ビデオカメラを持ち込まなければ動画さえ撮影できなかった。権利保有者が気を揉む必要のなかった昭和の時代だ。フィーチャーフォン登場後も端末そのものの容量が限られ、動画撮影可能な尺もわずか、かつ画質もあくまで記録用程度だった。