グーグルは、人工知能(AI)を用いたチャットボットのGemini(ジェミニ)に画期的な機能を導入した。「Gemini with Personalization」と呼ばれるこの新機能は、チャットボットがユーザーのグーグル検索履歴にアクセスし、よりパーソナライズされた結果を提供するものだ。
ユーザーは、Geminiと検索履歴を共有することで、自身のことや興味のあることをより詳しく理解してもらうことが可能になる。Geminiは、個々のユーザーのニーズや興味に基づいて、それに合致する回答を提供する。
グーグルによると、例えばGeminiにお勧めのレストランを尋ねると、ユーザーが過去に検索した食べ物に関する検索履歴を考慮した回答を生成するという。また、旅行のアドバイスを求めると、チャットボットはユーザーが以前に調べた場所に基づいてアイデアを提供する。
グーグルはユーザーに対し、新しい趣味やYouTubeチャンネル向けのアイデアといった、より個人的な質問をすることを推奨している。同社によると、Geminiはユーザーのことを知れば知るほど、より詳細な回答を提供することが可能になるという。
Geminiと検索履歴の統合は、グーグルが実験的に展開しているパーソナライゼーション機能の一部だ。今後のアップデートでは、他のアプリやサービスにも範囲を広げ、まずはGoogleフォトとYouTubeに実装される予定だという。
パーソナライズ機能付きのGeminiは、初期の段階ではウェブ上で、無料版のGeminiおよび有料版の「Gemini Advanced」のユーザー向けに提供され、将来的にはGeminiのアプリでも利用できるようになる。グーグルによると、45以上の言語に対応し、ほとんどの国で利用可能だというが、現在のところスイスや英国を含む欧州諸国では対象外となっている。
Gemini with Personalizationを使用するためには、グーグルアカウントの管理を開き、「ウェブとアプリのアクティビティ」をオンにする必要がある。そうすることで、選択したグーグルのサイトやアプリでのアクティビティがアカウントに保存される。これは、Geminiが検索履歴にアクセスするために必要なステップだ。
プライバシーへの懸念は?
グーグルは、Geminiが検索履歴を使用するのはユーザーがそれを許可した場合に限定しており、さらに回答の生成にそれらの情報が役立つと判断した場合にのみ、ユーザーの検索履歴を使用するとしている。また、画面に表示されるリンクをタップすれば、いつでもGeminiから検索履歴を切り離すことができる。
最もプライベートな情報と言える検索履歴へのアクセスを日常的にチャットボットに許可することに不安を覚える人も多いが、これは、AIから真にパーソナライズされた回答を得るために支払わなければならない代償と言える。
ここで重要なポイントは、このパーソナライズ機能を利用するために、ユーザーはグーグルの検索エンジンを使用する必要があることだ。これにより、グーグルはBingやDuckDuckGo、Perplexityのような競合サービスに対する優位性を高め、検索市場におけるリードをさらに強化できる可能性がある。