満足度の極めて高いラグーンツアー
アイツタキ島へは、ラロトンガ島からラロトンガ航空を利用して、50分ほどで到着する。現地で参加した「ラグーンツアー」も、満足度が高かった。宿泊するホテルでピックアップしてもらい、ツアーの発着地へと移動。高級感があるボートに乗り込み、ラグーンを巡る。

船上ではスタッフがウクレレで弾き語りをしてくれ、旅行気分が盛り上がる。気さくなスタッフたちとの会話にも本当に癒やされた。ボートには透明の風よけ、4つのトイレ、テーブルやソファー、ビーチチェアーが備え付けてあり、各々快適に過ごせる。紅茶や水は飲み放題で、別途アルコールやジュースも注文可(有料)。シュノーケリング後には船上での超豪華なランチブッフェが待っており、タロ芋、タピオカ、マグロ、パッションフルーツやパパイヤなど、地元の食材をふんだんに使った料理は今回の滞在で最も美味しく感じられた。

島に上陸しての、ココナッツ活用法の実演解説や散策も、学びのある充実した時間だった。ツアーが単調にならないよう、随所に工夫が見られるトータル6時間のツアーは、これまでの人生で参加したどのツアーよりも印象に残った。
「分散型観光の推進」がオーバーツーリズムを防ぐ
不思議なのが、これだけ満足度が高い目的地にもかかわらず、オーバーツーリズムが起きていない点である。確かに、島国であるため観光客数をコントロールしやすい側面はある。とはいえ、世界中にはオーバーツーリズムが起きている島は枚挙にいとまがない。

クック諸島観光局のゼネラルマーケティングマネージャー、ダニエル・フィッシャー氏は、分散型観光の推進がオーバーツーリズムの抑制に貢献していると説明する。観光局では、玄関口であるラロトンガ島から、アイツタキ、アティウ、マンガイアといったクック諸島各島への訪問を促しているという。確かに、観光局のウェブサイトでは、ラロトンガ以外の島の魅力が丁寧に説明されていた。例えば「ミティアロ島」のページは、「地元のように暮らす」とのコピーとともに、洞窟プールでの遊泳や農園見学といったアクティビティーや見どころを解説。「バーチャルツアー」として、島内の名所を360度カメラで撮影した画像も掲載している。アクセス方法や宿泊施設も分かりやすく説明してあり、現地での過ごし方を容易にイメージできる設計となっている。フィッシャー氏は、「こうした取り組みにより経済的な恩恵が分散し、特定の目的地に対する圧力が軽減される」と語る。
