移動のストレスは皆無
私は今回、仕事の関係で、クック諸島の首都アバルアを抱えるラロトンガ島と、先述のアイツタキ島に滞在した。ラロトンガ島までは、ニュージーランド・オークランドからの直行便で4時間。ニュージーランド航空の大型機材は観光客らでほぼ満席だった。

ラロトンガ島滞在中は、クック諸島における「観光産業の完成度の高さ」に驚かされる日々を過ごした。まず移動のストレスがない。国際空港があるラロトンガ島の場合、「時計回り」と「反時計回り」で、それぞれ1時間に1本ずつ路線バスが走っている。また、バスのタイミングが合わなくとも、タクシー会社に電話をすると10分程度で迎えに来てくれる。アクティビティーやツアーは、ホテルまで迎えに来てくれるプランもあり、離島にありがちな移動に困るという経験はなかった。

観光産業に従事する人々のホスピタリティーも素晴らしい。「ホストとゲスト」という関係性ではなく、良い意味で友人のようなフランクな接し方だ。私がお世話になったホテルオーナーの女性は、私が仕事で疲れ果てていることを察知したのか、チェックイン時にテキパキと短時間で設備の使い方を説明してくれた。「ディナーはどうするつもりか」という彼女に、私が「少しお腹が空いているのでレストランを教えてほしい」と告げると、徒歩圏内の2軒を丁寧に示してくれたり、他にも買い物場所を教えてくれたりと、ホテル滞在中は何かとよくしてもらった。チェックアウト後も、宿泊先として選んだことへの感謝を伝えるフランクなメールをくれ、印象に残る宿となった。ラグジュアリーホテルではなく、クック諸島の中では比較的リーズナブルな宿での出来事である。