ウォール街にも不吉な兆候
米国最大の銀行であるJPモルガン・チェースは、第1四半期のGDP成長率を1%と予測しており、低成長ながらもプラス圏を維持すると見ている。しかし、ウォール街の景気後退指標は、リセッション入りの確率が高まっていることを示している。ゴールドマン・サックスの追跡モデルは、トランプの関税政策による経済の不確実性の高まりを主な要因として、今後1年間の景気後退の確率を15%から20%へと引き上げた。
一方、株価は必ずしも経済の成長と相関するわけではないが、投資家は米国経済の低迷の可能性を織り込みつつある。S&P500種株価指数は3月中旬から10%の調整局面に突入し、1カ月足らずで約5兆ドル(約740兆円)の時価総額が吹き飛んだ。この下落は、景気減速の影響を受けやすいハイテク銘柄が主導しており、そこには人工知能(AI)分野を主導するエヌビディアや、マスクのテスラが含まれている。
資産運用会社も先行きを悲観
バンク・オブ・アメリカが18日に発表したグローバルファンドマネージャーの月次調査によると、回答者の約63%が今後1年間で世界経済が弱まると予想しており、3月は1994年の調査開始以来で、2番目に大きなマクロ経済の悲観的見通しの上昇を記録した。また、ファンドマネージャーは今月、現金保有率を2020年3月以降で最大に引き上げており、米国株からの資金流出も過去最速のペースで進んでいる。
さらに、このグループの間では、トランプ政権の政策が最大のリスク要因として認識されており、55%の回答者が「関税主導の貿易戦争が世界経済を景気後退に陥らせること」を最大の脅威として挙げた。また、13%が「マスクのDOGEの施策が米国を景気後退に導く可能性」を最も懸念すべきリスクと考えている。
バンク・オブ・アメリカは、3月7日から13日にかけて合計で4770億ドル(約70兆円)を運用する205人のファンドマネージャーを対象にこの調査を実施した。