米株式市場は、週明けからまた新たな売りの波に襲われた。この下落は、トランプ米大統領が3月9日に公開されたインタビューで、米国の景気後退の可能性を示唆したことを受けてのものだ。トランプの広範にわたる、そして頻繁に変わる関税政策が市場を揺るがしている。
米国市場の主要3指数はすべて米東部時間10日に大幅に下落し、7日午後の反発を打ち消した。ダウ工業株30種平均は2.1%下落し、S&P500種株価指数は2.7%の下落、ナスダック総合指数は4%の下落となった。
S&P500とナスダックはともに9月中旬以来の最安値で取引を終え、ダウは9月以来の最安値となった。10日のナスダックの下落率は、2022年9月以降で最悪となった。
この日の株価下落の一因となったのは、トランプが9日に放送されたFOXニュースの番組によるインタビューで、景気後退の可能性を明確に否定しなかったことだ。彼はまた、今が経済の「移行期」にあると述べて、「株式市場を見ていてはいけない」と主張し、一時的な変動にとらわれるべきではないという認識を強調した。
ニュースレターのザ・セブンズ・リポートを創業したトム・エッセイは10日の顧客向けメモで、「トランプの発言は市場心理を圧迫するもので、現在進行中のカオスな政策に対する投資家の懸念を和らげるものではなかった」と指摘した。
トランプは、短期的な株価の動きをあまり気にしないと述べているが、その影響は甚大だ。7日に調整局面入りしたナスダックは、市場が急落を始めた2月19日の終値から13%下落している。同期間のS&P500とダウは、それぞれ9%と6%下落している。S&P500は先週、3.1%の下落を記録し、9月以来で最悪の週となっていた。
一方、ここ3週間の激しい下落の中で、最も目立つのはビッグテック株の下落ぶりだ。特に半導体大手のエヌビディアと、電気自動車(EV)大手のテスラの下落が激しく、この期間にそれぞれ23%と37%下落した。また、アップルとアルファベット、メタの3社の株価は10日にそれぞれ約5%下落した。
最近の株価下落は、トランプ政権による関税の導入と同時期に発生している。関税は、企業の利益率を圧迫し、消費需要を鈍化させる可能性があるため、一般的に株式市場にとってマイナス要因とされている。
しかし、市場は、関税がもたらす直接的な悪影響だけでなく、トランプによる頻繁な方針変更に対してネガティブに反応している。関税の適用開始時期や対象となる品目が頻繁に変わることが、市場の不安を増幅させている。