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経済

2025.02.26 12:30

マスク主導の米政府職員解雇で、米経済と市場のリスク増大 エコノミストが警告

米政府効率化省を率いるイーロン・マスクとドナルド・トランプ大統領。2025年2月11日、ホワイトハウスの大統領執務室にて(Andrew Harnik/Getty Images)

米政府効率化省を率いるイーロン・マスクとドナルド・トランプ大統領。2025年2月11日、ホワイトハウスの大統領執務室にて(Andrew Harnik/Getty Images)

イーロン・マスク率いる米政府効率化省(DOGE)が進める米政府職員の削減計画は、多くの予想をはるかに上回る規模になる可能性があり、広範な経済と金融市場に対するリスクが「高まっている」と、米資産運用大手アポロ・グローバル・マネジメントのチーフエコノミストが警告を発した。ドナルド・トランプ大統領は常々、市場が自身の成功の重要なバロメーターとなると強調している。

運用資産7510億ドル(約112兆円)を誇るアポロのトルステン・スロックは22日公開の記事で、「経済と市場に対する下振れリスクを懸念し始めている」と述べ、「DOGEによる解雇と契約削減の影響」を最大の懸念事項に挙げた。

スロックによると、DOGE絡みの人員削減数は100万人に達する可能性がある。なぜなら、マスクとトランプが政府契約と助成金の削減も同時に進める中、広く想定されている約30万人という人員削減数は、連邦政府の契約労働者520万人への影響を考慮していないためだという。

スロックは、政府の雇用削減と連動して失業率が上昇すると予測。「経済と市場に対する短期的な下振れリスクは高まっている」と記事を締めくくっている。

ヘッジファンドのポイント72アセット・マネジメント創業者で富豪のスティーブ・コーエンも21日、株式市場で「大幅な調整」が発生する見通しについて警告。厳格な移民政策、関税、DOGEが進めるコスト削減など、トランプの経済政策に対する悲観論を掲げ、連邦政府支出の減少は「経済にとってマイナスにならざるを得ない」と指摘した。

米シンクタンクのブルッキングス研究所が2023会計年度のデータを分析した結果によれば、米政府機関・軍・郵便公社の職員を含む連邦政府全体の労働力に占める契約労働者の割合は66.5%に上り、2002年の50.7%から増加している。

トランプ政権の早期退職勧奨には、これまでに7万5000人を超える連邦職員が応じている。また、内国歳入庁(IRS)や森林局などで試用期間中の職員を対象に最大22万人におよぶ大量解雇が行われている。これほど大規模な人員削減は、歴史的に見ても第二次世界大戦までさかのぼる異例の事態だ。

米国の1月の失業率は4%、2024年第4四半期の経済成長率は2.3%で、経済は全般的には堅調といえる。連邦政府入札管理システム(SAM)によると、米政府契約企業への支出額が最も多いのは航空防衛大手のロッキード・マーティン、RTX、ゼネラル・ダイナミクスだが、デル、デロイト、マイクロソフト、ファイザーといった非防衛関連企業も2023年時点で10億ドル(約1490億円)以上の政府契約を獲得している。

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翻訳・編集=荻原藤緒

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