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暗号資産

2025.03.03 17:30

トランプが「暗号資産の戦略備蓄」を宣言、ビットコインは10%以上急騰

ドナルド・トランプ米大統領(Photo by Andrew Harnik/Getty Images)

ドナルド・トランプ米大統領(Photo by Andrew Harnik/Getty Images)

トランプ米大統領は3月2日、米国政府がビットコインやイーサリアムなどの主要な暗号資産を含む「暗号資産戦略的準備金」を創設するとトゥルースソーシャルの投稿で発表した。

トランプは、この準備金が「長年にわたり攻撃されてきた重要な産業を発展させることにつながる」と語り、その創設に向けた取り組みを進めるよう関係者に指示したことを明らかにした。この準備金には、リップル(XRP)やソラナ(SOL)、カルダノ(ADA)が含まれるという。

彼は、さらに別の投稿で、「準備金の中心には当然、ビットコインとイーサリアムが含まれる」と述べ、これらの2つの暗号資産を「愛している」と発言した。トランプは、1月23日に発表した大統領令で、デジタル資産に関する規制の枠組みを提案する「作業部会」を設立し、「国家のデジタル資産の備蓄」を評価するよう指示していた。

トランプの発表を受けて、ビットコインの価格は10%以上上昇し、2日午後に9万4000ドルを超えた。イーサリアムも13%以上上昇し、一時2500ドルを超えている。また、トランプが言及したより時価総額の小さなXRPやADA、ソラナなども、少なくとも20%の急騰を見せた。

この暗号資産の備蓄が最終的にどのような仕組みになるかはまだ不明だが、トランプの大統領令によれば、「法執行活動を通じて政府が押収した暗号資産」を備蓄に活用する可能性が示唆されている。

ニューヨーク・タイムズ紙は1月時点で、米政府が押収したビットコインが推定190億ドル(約2兆8600億円)相当に上ると報じており、それをそのまま保持することで備蓄を形成できる可能性がある。米政府は、これまで押収した暗号資産を定期的に売却しており、それが暗号資産の価格の下落を招いてきた。そのため、政府が売却せずに備蓄として保持することで、価格の下落を防ぐ効果が期待される。

今後の焦点は、トランプ政権が新たに大量の暗号資産を取得し、準備金を拡充するのかどうかだ。これは暗号資産業界や既存の保有者にとって追い風となるが、新規の取得には議会の承認が必要となる可能性があるとNYTは報じた。

暗号資産の業界関係者は、この準備金のニュースを歓迎したが、一部のエコノミストは懸念を示している。彼らは、ボラティリティが激しい暗号資産を政府が購入することが、既存の暗号資産の保有者に恩恵を与える一方で、価格が下落した場合に、数十億ドルもの納税者の資金を消し去ることにつながるギャンブルになりかねないと指摘している。

ステーブルコイン「テザー」にも注目

トランプの今回の発表に、ステーブルコインのテザー(USDT)は含まれていなかったが、ワシントン・ポスト紙は、これまで政府が押収し、備蓄に用いられることになる暗号資産にUSDTが含まれる可能性があると指摘した。このことは、トランプが商務長官に任命したハワード・ルトニックがUSDTと密接なつながりを持つことから注目される。

報道によると、ルトニックが長年率いていた投資銀行のキャンター・フィッツジェラルドは、USDTのポートフォリオを管理しており、最近では同社がUSDTの発行元の5%の株式を取得する契約を結んだと報じられた。

ルトニックは、商務長官への就任にあたり、キャンター・フィッツジェラルドを辞任し、持ち株を売却すると表明しているが、民主党議員からは批判の声が上がっている。エリザベス・ウォーレン上院議員は、ルトニックに宛てた書簡で、「テザーとの関係に深刻な懸念」を抱いているとし、商務長官としての職務が「テザーおよび暗号資産業界全体に直接または間接的に影響を及ぼす可能性がある」と警告した。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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