研究チームはどのようにして推算を行ったのか。
RASによると、研究チームはまず、太陽から約65光年以内の超新星出現率を算出した。次にこの出現率と、近傍の超新星に起因すると過去に指摘されていた地球の大量絶滅事象のおよその発生率を比較した。
今回の推算によると、約65光年以内の太陽近傍における超新星出現率は、超新星爆発に起因し、化石記録の残る大量絶滅事象が1回以上の頻度で起きていることと一致すると、キンタナは説明している。
最も驚くべきことは何だろうか。
論文の共同執筆者の1人で、キール大の天体物理学者のニック・ライトは取材に応じた電子メールで、今回得られた結果と比較すると、過去の研究では超新星出現率が2~3倍高かったと指摘している。これは明らかに地球の大量絶滅発生率と一致しないが、今回の最新の推算によってこの数値がより良好な一致を示すようになったことで、関連性がより可能性の高いものとなっていると、ライトは説明した。
次なる展開は?
非常に優れた精度を持つガイアの観測データを利用して、OB型星の全数調査を現在の制限を超えて拡大する予定だと、キンタナは述べている。
銀河系内で重力崩壊型超新星が次に出現すると予想される時期についてはどうか。
キンタナによると、最も有名な候補の1つは、約650光年の距離にある、オリオン座のベテルギウスだ。恒星としての寿命の末期にあるが、爆発にはまだ最大で10万年かかるかもしれないという。
幸いにも地球は現在のところ、絶滅レベルの超新星の危機には晒されていない。
キンタナによると、超新星爆発が生命を脅かす恐れがあるほどの近距離に位置する既知の大質量星は存在しない。さらに、今回の研究を進める中で明らかになった時間規模を考慮すると、こうした事象は今後数百万年は起きないと考えても差し支えないだろうと、キンタナは話している。