北半球の春は、もうすぐそこだ。3月20日の「春分の日」を境に、冬の星座に別れを告げる時が来た。夜の帳が下りると、オリオン座やおうし座といった冬を代表する星座たちが西の地平線へと沈んでいく様子が見られる。東の方角に目を転じれば、しし座やうしかい座、おとめ座など、春の星座が火星を追いかけるように昇ってくる。
今週は、低緯度オーロラの観測チャンスにも恵まれるかもしれない。なぜなら、春分の日には地球の自転軸(地軸)が太陽風に対して垂直になるからだ。このとき地球の磁気圏と太陽風の磁場の境界で磁力線の再結合が起き、磁気圏に「裂け目」が生じて太陽風の荷電粒子を加速させるため、春分の日の前後はオーロラの活動が活発になりやすい。これを「ラッセル・マクフェロン効果」と呼ぶ。
2025年3月第3週の星空と天文学について知っておきたいことをまとめた。

3月18日(火)ごろ:春の大三角
春の訪れを確かめたければ、夜空に「春の大三角」を探してみよう。北半球の春の夜空を飾る3つの明るい星、うしかい座のアルクトゥルス、おとめ座のスピカ、しし座のデネボラを結んでできる三角形だ。
3月20日(木):春分
太陽が天の赤道を南から北へと通過する瞬間を北半球では「春分」といい、今年は日本時間20日午後6時01分にその瞬間がやってくる。地球全体で昼と夜の長さが等しくなり、北半球では春が、南半球では秋が始まる。

3月22日(土):下弦の月
下弦の月を過ぎると、月明かりに邪魔されない暗い夜空を10日間ほど満喫できる。天文ファンや天体写真家にとってはありがたい時期だ。地上から見てちょうど半分の明るさになった月はこの夜、いて座とさそり座の間にある。この日以降は早朝、薄明の空に少しずつ細くなる月がかかる。
今週の星座:おおぐま座

おおぐま座は、北半球では1年を通じていつでも見える星座だ。これは、地軸の北極側をまっすぐ延ばした先に北極星があり、おおぐま座がその周りを回っている「周極星座」だからだ。よく知られている星座だが、星空好きでも、核となる北斗七星しか知らない人は少なくない。今の時期なら、夜9時ごろに北の空の高い位置を探してみてほしい。ひしゃくを伏せた形に並んだ7つの明るい星が見つかるはずだ。