月周回マスコットとしてのスヌーピー

アルテミス1号は2022年後半に打ち上げられ、人間は搭乗していなかった。このテストミッションでは、宇宙船オリオンが月を周回し、地球へ帰還するプロセスを検証した。アルテミス1号で採用されたゼロ・グラビティ・インジケータは、オレンジ色の宇宙服を着た小さなスヌーピーのぬいぐるみだった。
NASAが公開したアルテミス1号ミッションの白黒写真の中で、スヌーピーはオレンジ色の宇宙服を着てひときわ目立っている。
NASAと漫画家チャールズ・シュルツのキャラクターとの関係は、アポロ時代までさかのぼる。NASAは2022年に「スヌーピーは、50年以上にわたり有人宇宙飛行にインスピレーションと興奮を与えてきたことから、今回のフライトのゼロ・グラビティ・インジケータに選ばれました」と述べている。アルテミス2号のマスコットをクラウドソーシングで募集することは、NASAが新たな方向へと進んでいることを示すものだ。
アルテミス2号には4人の宇宙飛行士が搭乗する予定だ。NASA所属のリード・ワイズマン、ヴィクター・グローバー、クリスティーナ・コックの3名と、カナダ宇宙庁のジェレミー・ハンセンが参加する。しかし、打ち上げのスケジュールは流動的である。NASAは2024年末に遅延を発表しており、新たに2026年4月の打ち上げを目指すとしている。これは以前の目標であった2025年9月から約7カ月の延期にあたる。
宇宙ミッションは、新しいハードウェアや有人飛行がともなう場合、とかく遅延が発生しがちだ。アルテミス2号の延期は、初の無人試験飛行の際に宇宙船オリオンの耐熱シールドに起きた問題が原因である。地球への帰還時、耐熱シールドが割れたものの、カプセル内部は無事であり、着水も成功した。しかしNASAは、有人飛行の前にこの問題を修正しようとしている。
アルテミス2号を2026年に打ち上げるためには、オリオンの準備、アルテミス計画を継続するための予算や人員、そしてNASAの意思がすべてそろわなければならない。そうした不確定要素がありながらもNASAは前進を続け、一般からの関心と参加を促す手立てを模索している。マスコットのデザイン募集は、宇宙ファンを巻き込む手段の1つといえる。
あなたのマスコットはどのような形になるだろうか。ロケットだろうか、チーズのかけらだろうか、それとも宇宙飛行士だろうか。可能性は無限に広がっている。