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北米

2025.03.11 13:00

トランプ政権に挑む「カナダ新首相」、マーク・カーニーの人物像

マーク・カーニー(Photo by Stringer/Anadolu via Getty Images)

マーク・カーニー(Photo by Stringer/Anadolu via Getty Images)

カナダの与党・自由党は3月9日、新党首にマーク・カーニー(59)を選出した。元ゴールドマン・サックスのバンカーだった彼は、カナダとイギリスの中央銀行総裁を務めた経歴を持つ。

カーニーは、中道左派として知られるカナダ自由党の党首選で、約15万2000人の登録党員のうちの約86%の支持を獲得してトルドー首相の後任に選ばれた。1965年にノースウエスト準州フォートスミスで生まれた彼は、1988年にハーバード大学で経済学の学士号を取得し、その後オックスフォード大学で修士号と博士号を取得した。

ゴールドマン・サックスで13年間勤務したカーニーは、ロンドンや東京、ニューヨーク、トロントを渡り歩いた後の2003年にカナダ中央銀行の副総裁に任命された。しかし、翌2004年には同職を離れ、カナダ財務省の上級副大臣に就任した。

2008年2月にカナダ銀行の総裁に就任した彼は、金融危機の際に政策金利を過去最低の1%に引き下げて、カナダ経済を維持した手腕を称賛された。

英国によるブレグジットの金融リスクを警告していたカーニーは、2013年7月に非英国人として初めてイングランド銀行の総裁に任命された。彼は、2019年にイングランド銀行を退任した後、国連の気候変動対策・金融担当特使に就任した。そして、今年の1月16日にトルドー首相の後継者を選ぶカナダ自由党の党首選への立候補を発表した。

カナダとアイルランドのパスポートを持つカーニーは、2018年に英国の市民権を取得したが、今月初めにアイルランドと英国の市民権を放棄すると発表した。

トランプへの対抗姿勢

トランプが1月にカナダへの25%の関税を発表した直後にカーニーは、BBCに対し、「トランプはおそらくカナダが屈すると思っているのだろう。しかし、我々はいじめっ子には立ち向かう。決して引き下がらない」と述べていた。

カーニーは、勝利演説でトランプを「カナダの経済を弱体化させようとしている人物」と非難し、彼の関税を「不当なもの」と呼んだ。そして、カナダが「我々の生涯で最大の危機」に直面していると警告した。

彼はまた、トランプがカナダに米国への統合を提案したことに対し、「我々は、どのような形であれ、決してアメリカの一部にはならない」と言明し、「貿易においても、ホッケーにおいても、カナダは勝つ」と述べていた。

一方、カナダ保守党の党首、ピエール・ポワリエーヴルは、自由党が「カナダ国民を欺いて4期目の政権を獲得しようとしている」と非難した。また、カーニーが「何十億ドル、何千もの雇用をカナダから米国に移転させることで個人的に利益を得た」と主張した。

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編集=上田裕資

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