3. 不適合による燃え尽き
自分の特性や価値観と相容れないことをしていると、虚無感が生じることがある。こうした断絶はゆっくりと、不適合による燃え尽きにつながるおそれがある。
学術誌International Journal of Engineering Business Managementに掲載された2022年の研究結果では、ベトナムで職探しをしているZ世代の若者が、報酬や福利厚生よりも職場の文化や倫理観、社会的責任を重視することが判明している。
このように、パーパス(人生の目標)や意義を求める意識は、多くのZ世代の若者を突き動かす原理となっている。そして、実際に就いた仕事がこれらの価値観を反映していない場合、行き詰まり感を引き起こすことがある──自分にとって核となる信条と相容れない役割に縛られ、身動きがとれないように感じるからだ。
このような不適合状態が続くと、欲求不満や恨み、虚しさといった感情が生じる。理想と現実のあいだのギャップが広がると、充実感ややる気を実感するのがさらに難しくなり、燃え尽きにつながる。
不適合による燃え尽きは、自尊心の減退につながり、メンタルヘルスにも悪影響を与える。自分本来の目標と相容れない状態で、他者からの期待に無理に応えようとする状態が続くと、許容量を超えて人に尽くしているのに、自分が最も価値を置いているものに関しては見返りを得られない、という感覚を抱くことになる。
燃え尽きには実にさまざまな形態があり、それぞれに固有の問題がある。燃え尽きの初期兆候を見逃さないようにすることで、手に負えない悪循環に陥る事態を防げるはずだ。
「今の環境は自分の価値観と相容れない」と感じたら、行動に移すことが重要となる。具体的には、新たな活躍の機会を探ったり、バランスを取り戻すために何かを変えたり、といった行動だ。いずれにしても「この環境は自分に合っているか」と自らに問いかけ、心の声に耳を傾けることが肝心だ。