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経営・戦略

2025.03.07 12:00

エネルギー大手各社で続くレイオフ、再生可能エネルギーの縮小と化石燃料への回帰

Frode Koppang / Shutterstock

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世界有数のエネルギー企業である英BPは2025年1月16日、正社員およそ5000人と契約社員およそ3000人を削減すると明らかにした。これは、世界全体における同社従業員の5%以上に相当する規模だ。

2024年の売上が1940億ドル(約28兆7000億円)を超えるBPは、大手石油・ガス企業のブランド価値総額で世界5位に位置し、2024年12月時点の時価総額は771億4000万ドル(約11兆4200億円)に上る。Sustainability.comの記事によると、今回のレイオフと解雇の対象は、全世界の従業員の5%以上に相当する。これは、2026年までにコストを20億ドル(約2960億円)引き下げる同社の計画の一環であり、2025年のコスト削減分である5億ドル(約740億円)の一部として行われるという。

ロンドンにグローバル本社を置くBP(米国事業の拠点はテキサス州ヒューストン)は、2022年から2023年にかけて2万人以上を雇用していた(これは前年比での増加としては過去最大)。コロナ禍後の追加人材採用だったが、望ましい結果には結びつかなかったようだ。BPの売上は2023年、前年比で300億ドル(14%以上)の減少となる2101億3000万ドル(約31兆1000億円)となり、同社株価は2024年の間に17%減少した。この間、競合相手のExxon Mobil(エクソンモービル)の株価は5%上昇している。

ロイター記事によれば、BPのマレー・オーキンクロス最高経営責任者(CEO)は、2月26日の投資家向けイベントで、「再生可能エネルギー発電量を2030年までに、2019年と比べて20倍となる50ギガワットに引き上げる」という目標を撤回した。

BPの目標撤回発表についてよく知る匿名情報筋によると、BPは、ある程度の資産売却やほかの低炭素投資の削減を行い、負債を減らして売上を増やすつもりのようだ。BPについては、5%の株式を保有する「アクティビスト(物言う株主)」であるElliott Investment Management(エリオット・インベストメント・マネジメント)が、石油・ガス事業のコスト規律引き締めや他の変革を促している。

5年前の2020年、オーキンクロスCEOの前任者であるバーナード・ルーニーは、再生可能エネルギーについて大々的な目標を掲げ、石油とガスの生産量をその前年比で40%削減すると約束した。しかし2023年には、石油・ガス生産量削減目標を25%に引き下げていた。

オーキンクロスCEOは2023年、ルーニーに代わって暫定で同社トップに就き、2024年1月にCEOに正式就任した。同社でのキャリアは25年間で、最高財務責任者(CFO)も経験しているため、株主はオーキンクロスのCEO就任を好意的に受け止めた。BPのヘルゲ・ルンド会長はオーキンクロスCEOについて、「安定したリーダーシップを発揮し、BPの業績と安定供給に力を注ぎ、エネルギー移行を巡る機会と挑戦を深く理解しており、統合エネルギー企業に向けた規律ある変革を続けるBPを良い方向へと導いてくれるだろう」と評していた。

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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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