米アルファベット傘下のウェイモは3月4日、ロボタクシーサービスを4つ目の都市であるテキサス州オースティンに拡大した。ウェイモは今回初めて、配車の管理をウーバーに委託し、ウーバーを通じた予約を可能にするほか、電気自動車(EV)のメンテナンスも委託する。
ウェイモのビジネス開発部門とパートナーシップ部門の責任者を務めるニコール・ガベルによると、オースティンでのサービスはまず、需要が最も高いと予想される95平方キロのエリアで展開されるという。フェニックス、サンフランシスコ、ロサンゼルスではウェイモが自社で保有するサービス拠点を利用しているが、オースティンではウーバーがこの拠点を運営し、EVの充電や整備を担うことになる。
ガベルはオースティンでの展開について、「顧客のアクセスは、ウーバーの配車ネットワーク限定になる。これは初めての試みだ」とフォーブスに説明した。彼女は、ウーバーとの間の収益分配の詳細については明かさなかったが、同様の提携が今年後半にアトランタでのサービス開始時にも行われる予定だと語った。
ウェイモは先月、フェニックス、サンフランシスコ、ロサンゼルスの3都市で、週に20万回以上の有料ライドを提供していると発表した。この回数は、2024年8月時点の倍の水準にあたる。ウェイモは、2024年に合計400万回以上のライドを提供しており、フォーブスは、昨年の収益が約1億ドル(約150億円)に達したと試算している。ただし、ウェイモ自身は収益に関する具体的な数字を公表していない。
テスラのロボタクシーに先行
イーロン・マスクのテスラは、オースティンで6月から自動運転タクシーサービスを提供すると約束しているが、ウェイモはそれに数カ月先駆けて、オースティンに乗り込んだ。テスラの車両には、長年にわたりオートパイロット機能やフル・セルフドライビング(FSD)のソフトウェアが搭載されているが、その名称にもかかわらず、ウェイモのシステムのような完全な自動運転機能を備えていない。
現在のところ、ウェイモの自動運転モードで運行中の車両による死亡事故は発生していない。しかし、事故追跡サイトによると、テスラのオーロパイロット、もしくはFSDが作動中の車両による死亡事故の発生件数は、2024年までに52件に達していた。
ウェイモは現在、4都市で約700台のロボタクシーを運行しており、それらの車両は、ジャガーの電動SUVであるI-PACEをベースに、レーザーLiDARや、レーダー、カメラなど数十個のセンサーと高性能コンピュータシステムを搭載したものとなっている。一方、マスクが構想するテスラのロボタクシーは、コスト削減のためにカメラのみを使用する方針で、多くの自動運転テクノロジーの専門家はこのアプローチに懐疑的な見方を示している。
ウェイモは、今回のオースティンに加えて年内にアトランタ、2026年にはマイアミへの進出を予定している。同社は、今年中に中国のZeekr(ジーカー)製の電動バンをフリートに追加する計画で、次世代センサーとコンピュータシステムを搭載した韓国のヒョンデ「IONIQ 5」の改良版のテストも開始する予定だ。