「消費者のイーロン・マスクのイメージ悪化は、テスラに逆風を与える可能性がある」と、スタイフェルのアナリストのスティーブン・ゲンガロは2月9日の顧客向けメモで語った。
スタイフェルは、この報告を受けてテスラの目標株価を492ドルから478ドルに引き下げたが、それでも「買い」評価を維持し、テスラの株価に、10日につけた360ドルから33%の上昇余地があると見込んでいる。
スタイフェルとモーニング・コンサルトが共同で実施した月次調査によると、テスラの純支持率(好意的に評価する割合から否定的に評価する割合を差し引いたもの)は3%で、2018年の調査の開始以降の最低水準に近づいている。
このデータは、マスクの政治的影響力に対する懐疑的な見方が強まる中で、一部の消費者がテスラから距離を置き始めていることを示している。CBSニュースとYouGovが9日に発表した世論調査では、マスクと彼が率いる政府効率化省(DOGE)が、連邦政府に「大きな影響力を持つべきだ」と考えている米国人の割合は、わずか23%にとどまった。
さらに、先週の報道によると、テスラの欧州での販売は急減しており、1月の販売台数は英国で約12%減、ドイツで59%減、フランスで63%減となっていた。
テスラの株価は10日に、12月4日以来の安値を記録し、年初来の下落率は11%に達した。同社の株価は、12月につけた史上最高値を26%下回っている。
テスラは、昨年初めて前年比の車両の納車台数の減少を報告した。同社の納車台数は、2023年に181万台だったが、2024年には179万台へと減少した。また、同社の利益は、2023年から2024年にかけて20%以上減少した。しかし、テスラの株価は過去1年間で90%以上も上昇しており、特に11月の大統領選以降に43%上昇している。
JPモルガンのアナリストのライアン・ブリンクマンは先月、「テスラ株は、もはやファンダメンタルズから完全に乖離している」と指摘した。
マスク自身も、テスラの電気自動車(EV)事業の成長の鈍化を認めており、昨年1月に、「当社は、2つの主要な成長の波の間にある小さな停滞期にある」と述べていた。一方、テスラ株の強気な見方の大部分は、同社が単なるEVメーカーではなく、AI技術を応用した人型ロボットやロボタクシー分野で巨大な成長ポテンシャルを持つという期待から生じている。
スタイフェルは、同社が買い評価を維持するテスラの株価の成長ストーリーにおいて、AI分野の取り組みが「極めて重要だ」と述べている。マスクは先月、同社の人型ロボットの「オプティマス」が10兆ドル(約1530兆円)規模の市場を持つと述べていた。
(forbes.com 原文)