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2025.03.05 10:15

アトツギこそ起業家精神が必要だ。伝統と革新の間で【Tech GALAレポート#4】

左からモデレーターの三星グループ代表 岩田真吾、日清鋼業 取締役副社長 濱田真帆、生方製作所 代表取締役社長 生方眞之介、プロトビ・TILE made代表 玉川幸枝

左からモデレーターの三星グループ代表 岩田真吾、日清鋼業 取締役副社長 濱田真帆、生方製作所 代表取締役社長 生方眞之介、プロトビ・TILE made代表 玉川幸枝

2025年、70歳を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人に達する。うち約半数、約127万人の後継者が未定とされ(中小企業庁調べ)、事業継承は喫緊の課題だ。

そうしたなか、2025年2月4日から3日間にわたり開催されたグローバルなスタートアップの祭典「TechGALA Japan」の最終日には、東海地区のアトツギ4名によるトークセッション「アトツギこそ起業家精神が必要だ」が行われた。

 モデレーターを務めたのは、三星グループ代表で弊誌Forbes JAPAN スモール・ジャイアンツ イノベーターでもある三星グループ 5代目社長、岩田真吾。窯業に業務用デバイス製造、鋼板加工業と、異なる家業を背負い、奮闘するアトツギたちがリーダー論を熱く語りあった。


<スピーカー>
玉川幸枝◎たまがわゆきえ プロトビ・TILE made代表 
1991年に父が創業した玉川釉薬を、姉妹で承継。東京で区議会議員秘書、ベンチャー企業、まちづくり会社の社員として働いた後、2017年地元岐阜県瑞浪市にUターン。東美濃のタイルの魅力発信と文化承継のため、家業の釉薬技術を生かしたオーダーメイドのタイルブランド「TILE made」を立ち上げた。

生方眞之介◎うぶかたしんのすけ 生方製作所 代表取締役社長 
1957年創業のデバイスメーカー、生方製作所の5代目社長。P&Gジャパン、リサイクル/リユース業などを経て2017年入社。製造やセールスを経験したのち、グローバルマーケティング部門を統括。2023年6月より現職。「企業は社会の公器である」を理念に、従業員が主役の組織づくりを目指す。 

濱田真帆◎はまだまほ 日清鋼業 取締役副社長 
1970年創業の鋼板加工、および鋼材販売を手掛ける日清鋼業が家業。大学卒業後、高校教師として働き、結婚・出産を経て夫(代表取締役社長)と共に家業を承継。2021年、オーダーメイドのコンテナハウス事業「ISOL.(イソル)」をスタートした。


家業から逃げていたアトツギの背中を押したもの

事業継承は家族や社員、取引先など、さまざまなステイクホルダーを巻き込み、進める必要がある。セッション前半は、そんなアトツギに欠かせない「巻き込み力」を最初のトピックとしてスタートした。 

プロトビ代表 玉川幸枝の場合、巻き込んだ相手は東京で働いていた頃に出会った友人だった。玉川の家業、玉川釉薬がある東美濃の窯業界では近年、国内市場の縮小や海外製品との競争、職人の高齢化を背景として倒産や廃業が目立ち、窯業関連の企業数はピーク時と比べ約5分の1にまで減少しているという。玉川の家業も例外ではなく、倒産のリスクに見舞われた。

玉川は会社を立て直すために父から家業を継ぐように言われたが、6年間、東京で区議会議員の秘書やベンチャー企業の社員などとして働き、背を向けていた時期があった。

「ネガティブな言い方をすれば、事業継承には血縁のしがらみがあります。ゼロイチで仲間と新しいことを始められるわけではありません。しかも窯業は産業構造自体が古く、当社には長年踏襲してきた経営体制がある。さらに私を含め姉妹3人も家業に関わっているため、自分ひとりの考えで事業にメスを入れられないこともネックでした」(玉川)

しかしそんな状況を玉川から聞いていた友人は、「なぜ家業のことをやらないのか?」と何度も玉川に尋ねた。そして玉川はようやく自分が家業から逃げてきたことに気づいたという。それでも家業を継ぐことをためらう玉川に対し、友人は玉川が家業の釉薬技術を生かした新規のビジネスプランを立案することや、その実現のためにクラウドファンディングを実施すること、ビジネスコンテストに参加することなどを後押し。玉川が背水の陣で、家業から再び逃げられないようにバックアップしたという。

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文=真下智子 編集=大柏真佑実

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