二人はIT業界などを渡り歩き、スタートアップのイベントやコミュニティの創出を手がける女性起業家でもある。そんな二人が考える、名古屋ならではのスタートアップエコシステムの勝ち筋とは──。
──名古屋で初開催のテクノロジーの祭典「TechGALA」はどんなイベントでしょうか?日本でも京都のIVS KYOTOや東京都のSusHi Tech Tokyoなど、グローバルなスタートアップイベントが開かれるなかで特色を教えてください。
奥田:2月4日から6日にかけて名古屋市内の主に3会場で、「Mobility」「Sustainable Environment」「Material」「Life Science / Well-being」「Advanced Technology」という5つのテーマを設け、国内外のスピーカーによる約80のセッションやピッチイベントなどを行います。
ひとつの分野に偏りすぎないよう、5つのテーマのようにテクノロジーを幅広く捉えるようにしています。モビリティといえば自動車やMaaS分野が思い浮かぶと思いますが、ここでは宇宙も含まれています。火星など極限環境の地球上での再現を手がけるアドリアーナ・マレ博士のセッション(2月4日17:35〜18:35、中日ホールで開催)など、海外からも多様なスピーカーが参加するのも特徴で、個人的にも楽しみにしています。
粟生:私自身は15年間会社員生活を経て、起業するきっかけとなったのが10年前に米国オースティンで毎年春に開かれるSXSW(South by Southwest)に参加したことです。テクノロジーとエンターテイメントが融合したカンファレンスで、リスクをとって起業しようと着火されたきっかけは2つあります。
まず日本人も含めて世界各国からの参加者がピッチショーケースに参加しているのを見て新しい価値観に触れたことや、国境や国籍を超えてあらゆる人たちがビジネスを通じて社会や地球を変えようとしているところを見た瞬間、すごく体が熱くなったんですね。2つ目が、エンターテイメントの祭典でもあるので町中に音楽やアートが溢れているんです。そんな環境のなかで自分も何かやってみようと心が突き動かされる経験がありました。
名古屋では、ものづくりの街だからこそ均一性や画一性のようなカルチャーが重んじられてきましたが、TechGALAではポテンシャルのあるこの地域の人たちが、身体センサーを狂わすような仕掛けを作りたなという思いがあり、8カ国から16人が参加する「Global Startup Showcase」のほか、サイドイベントは50を超え、開催期間中は街中で栄地区などのクラブなどとも提携し、音楽を通じて町を周遊できるようなコンテンツも準備しています。