宇宙

2025.02.28 11:00

月面着陸のカウントダウンが始まる 3月に米国2機、日本は5月下旬

月周回軌道に入った「ブルーゴースト」からの画像。2月18日撮影(C)FireflyAerospace

月周回軌道に入った「ブルーゴースト」からの画像。2月18日撮影(C)FireflyAerospace

近年、各国各社が続々と月着陸機を打ち上げている。これらの無人探査機は2022年から2024年の間に計8機が打ち上げられ、うち5機が着陸に成功している。

2023年8月にはインドの「チャンドラヤーン」が月の南極圏に史上はじめて着陸し、2024年1月にはJAXAの「SLIM」が日本初の月着陸機となり、翌2月には米国の「NOVA-C」が民間機としてはじめて月面着陸を果たした。また、同年6月には中国の「嫦娥(じょうが)6号」が、月の裏側で採取した試料を地球に持ち帰ることに世界で初めて成功している。

ファイアフライ社の「ブルーゴースト」の軌道図。地球周回軌道に25日間留まったあとエンジンを噴射して離脱。月の周回軌道に入ると16日間かけて高度を下げていった(C)Firefly Aerospace
ファイアフライ社の「ブルーゴースト」の軌道図。地球周回軌道に25日間留まったあとエンジンを噴射して離脱。月の周回軌道に入ると16日間かけて高度を下げていった(C)Firefly Aerospace

そして2025年前半には、民間企業による3機の月着陸機が月面着陸に挑む。

その1機目は米国の「ブルーゴースト」。ファイアフライ・エアロスペース社によるこの機体は1月15日に打ち上げられ、2月14日に月周回軌道に投入された。2月24日には3回目となる16秒間のスラスター噴射を行い、ほぼ真円に近い高度100kmの低軌道に入っている。3月2日には再度スラスターを19秒間噴射して降下軌道に移り、「危難の海」への着陸を試みる。この着陸予定地は、地球から見ると月表側の北東部に見える。同社にとってはこれが初の挑戦となる。

IM社のNOVA-C「アテナ」の軌道図。今回紹介する3機のなかではもっとも早く45日間で月に到達する予定。全長3m、直径2m、燃料を搭載した状態での質量(打上時質量)は1900 kg。ペイロードは最大100 kgであり、着陸後14日間にわたり月面からデータを送る予定(C)Intuitive Machines
IM社のNOVA-C「アテナ」の軌道図。今回紹介する3機のなかではもっとも早く約1週間で月に到達する予定。全長3m、直径2m、燃料を搭載した状態での質量(打上時質量)は1900 kg。ペイロードは最大100 kgであり、着陸後14日間にわたり月面からデータを送る予定(C)Intuitive Machines

続く2機目は米インチュイティブ・マシーンズ社(以下、IM社)の「NOVA-C」。同社は昨年、同型機による月面着陸に成功しており、今回は2度目のミッションとなる。

NOVA-Cとは機体の型式名であり、今回使用される機体の固有名称は「アテナ」。同機は2月27日に打ち上げられ、予定軌道に無事投入された。打ち上げから約1週間後の3月6日前後には月面に着陸する予定だ。

アテナの着陸予定地は月の南極圏にある「シャクルトン・クレーター」。月南極圏への着陸はチャンドラヤーンが2023 年に成功しているが、同計画はインドの政府機関によるミッションだった。そのためアテナが今回の挑戦に成功すれば、月の南極圏への着陸する初の民間機となる。

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編集=安井克至

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