欧州

2025.02.26 09:00

ロシア軍の「亀戦車」が地雷をものともせず猛進、だが穴ぼこに落ちる

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両軍ともドローンが敵に最も多くの損害を与える兵器のひとつになっている。ただ、ゼレンスキーによればウクライナは昨年、FPVドローンを220万機製造したといい、ウクライナ側のほうが使用数は多いようだ。また、ロシア軍のドローンは光ファイバー通信のタイプを除くとウクライナ側のジャミング(電波妨害)に阻まれることが多く、ウクライナ側のドローンのほうが飛行の自由度が高くなっている。

ロシア寄りの姿勢を強めつつあるドナルド・トランプ米政権は、ウクライナにとって不利な停戦をウクライナに強要しようとしたり、戦争で疲弊しているウクライナに数千億ドル相当の希少鉱物の供与を迫ったりしているが、ゼレンスキーがそれを拒否でき、現にこれまで拒否しているのも、ウクライナがドローンでの優位性を確保していることが大きいだろう。

もっとも、ウクライナ側のドローンによるカバーにはむらがあり、場所によっては脆弱だ。また、ウクライナ軍のドローンチームの多くはドローンとの接続を米スペースX社の衛星通信サービス「スターリンク」に頼っているが、そのスペースXは、トランプへの大口献金者でロシアのプロパガンダの大きな拡散者でもある右派のビリオネア、イーロン・マスクが支配権を握る。米国は鉱物権益をめぐる要求をゼレンスキーに拒まれると、ウクライナ軍によるスターリンクへのアクセスを遮断すると脅したと伝えられる。

ウクライナにとって幸いだったのは、ポーランドの当局者が介入し、ウクライナによるスターリンクの利用について、ポーランド政府が商業契約に基づいて代金を支払っているという点を米国側に思い出させてくれたことだ。

ウクライナのドローンをめぐってはほかにも脆弱性がある。クルスク州に展開しているウクライナ軍の少なくとも1つのドローンチームは、夜間偵察用のサーマルカメラ搭載ドローンを使い果たした。「わたしたちには実のところ夜間用ドローンがもうありません」とドローン操縦士のKriegsforscherは訴えている

一方で、ゼレンスキーはウクライナによるドローンの生産は今年さらに増えると主張している。そうなればロシア軍による前進はさらに難しく、ますます大きな代償を伴うものになるかもしれない。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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